北海道「JR特急vs高速バス」の仁義なき戦い 自治体は「鉄道一辺倒」ではない

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■札幌―帯広
鉄道:「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」

<1日11往復、6700円、2時間20分>
バス:「ポテトライナー」
<1日10往復、3770円、4時間>

高速バスが約3000円安いが、所要時間や運行本数を含めると鉄道より有利とはいいがたい。

■札幌―旭川
鉄道:「カムイ」「ライラック」

<1日27往復、4290円、1時間30分>
バス:「高速あさひかわ号」
<1日37往復、2060円、2時間>

道内では随一の大動脈で、特急もバスも運行本数が多い。2000円以上の価格差がありながら、所要時間は30分ほどしか変わらないあたり、比較的近距離ながらどちらも甲乙つけがたい。

■札幌―稚内
鉄道:「宗谷」「サロベツ」
<1日3往復(札幌直通は1往復)、9930円、5時間10分>
バス:「わっかない号」
<1日6往復、6200円、5時間50分>

稚内市が高速バス路線の整備に力を入れてきた経緯もあり、運行本数は特急の倍。所要時間も40分しか変わらなければバスのほうが使いやすいだろう。2017年春のダイヤ改正で札幌直通の特急が1本に減った今ではなおさらだ。

■札幌―網走
鉄道:「オホーツク」「大雪」

<1日4往復(札幌直通は2往復)、9390円、5時間30分>
バス:「ドリーミントオホーツク号」
<1日9往復、6390円、6時間>

こちらも札幌―稚内間と同様、ダイヤ改正で札幌直通特急が削減された区間。所要時間がさほど変わらず運行本数が倍以上となれば、バスが圧倒的に有利な状況だ。

長距離高速輸送を生かせていないJR

新幹線と航空機のどちらを選択するかの分かれ目には”4時間の壁”があるといわれる。こうして全体を俯瞰(ふかん)してみると、北海道内の鉄道と高速バスは、4時間を超えるような長距離区間では大きな差が見られない。函館・室蘭方面は、JR北海道が長年輸送力強化に努めてきた経緯もあって鉄道も有利に戦えているが、稚内・網走・釧路あたりになるとバスの優位が歴然だ。つまり、JR北海道は「長距離高速輸送」という鉄道のメリットを生かしきれていないということになる。

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