社員69人で爆走する「千葉テレビ」の正体 番組もスポンサーも広告も、全部「常識外れ」

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特異な面ばかりが目立つ千葉テレビだが、地方局で最も重要なことは地域密着の有益な情報を発信すること。そうした工夫も日々重ねている。毎朝6時45分から始まる「シャキット!」は地元にフォーカスした情報番組だ。

シャキット!は7時30分から8時までの30分間、テレビ埼玉、テレビ神奈川でも同時に放送。収録は本社の1階ロビーに設置されたスタジオで行っている(写真:千葉テレビ)

シャキット!の構成はキー局の情報番組と異なる。「安倍晋三首相は昨日~」「北朝鮮のミサイル問題について~」などと注目のニュースから番組が始まることはない。なにはともあれ天気予報だ。

県内のピンポイント情報を中心に、周辺の都道府県の天気を伝える。今年4月からはウェザーニューズ社と連携し、気象予報士を起用している。スタジオだけでなく、外に出て本社の玄関前から中継したり、県内の観光名所から中継するなど、季節感を伝える工夫も欠かさない。

そのほか、気象予報士がゲリラ豪雨など、テーマを決めて詳しく解説するコーナーもある。また、成田国際空港の提供で世界各国の予報を盛り込んでいるのも大きな特徴だ。

県民が「意外に知らない情報」をつねに発掘

天気予報に続くのは交通情報。千葉県は車で通勤する人が多く、電車で都内に通勤する人も多いため、交通情報は重要だ。道路状況は渋滞の場所がわかるマップを画面全体に出して解説する。天気予報と交通情報は、通勤通学する視聴者のために、15分おきに放送している。

その後は県内のイベントなどニュースを取り上げる。スポーツも地元密着だ。プロ野球の千葉ロッテマリーンズやJリーグのジェフ千葉、柏レイソル、バスケのBリーグの千葉ジェッツの試合を優先して伝えていく。

シャキット!を担当する地域情報部の小倉奈保美氏と鈴木浩之氏。「キー局と同じことをやっても勝負にならない。千葉でしかできない情報を発信したい」と語る(記者撮影)

メインとなる特集では、県内各地の歴史や文化にまつわる観光地を紹介。「マザー牧場でヤギの赤ちゃんが生まれました!」といった、かわいい動物を紹介するコーナーもある。今後は美術館や博物館などのイベント情報も発信していく考えだ。

ネタに関しては、50代のベテランから、千葉が地元の20代スタッフ、さらには番組の営業担当者まで、制作チームは皆で知恵を出し合い、「県民が意外に知らない名所やイベントは何か」と知られざる千葉の魅力を日々発掘している。

そんなシャキット!でも予算を抑えるためにさまざまな工夫が凝らされている。スタジオにカメラは3台あるが、カメラマンは何と1人。すべてのアングルを1人でこなしている。特集では、以前に終了した「ちば見聞録」など、紀行番組で撮影した未公開映像も活用する。制作会社とも協力し、スタッフは皆、1人何役もこなしているという。

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