日経平均は8日以降、一気に「2万円」に挑戦か シカゴの先物ではすでに年初来高値を上回る

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もう一つ「日本株しっかり」の材料として、企業決算を挙げておきたい。4月末から3月期本決算企業の発表が本格化を迎えている。連休明けの5月第2週にピークを迎えるが、ここまでの決算を見る限り、2018年3月期の会社計画は良好といえそうだ。

ここまでの決算(修正含む)で市場が「ポジティブ視」した企業としては、ソニー、花王、イビデン、ダイワボウ、任天堂、アイシン、アンリツ、JVCKW、新光電工、NEC、昭和電工、IHI、エムスリーなどがあげられる。

また、想定為替レートを1ドル105円と現時点よりも保守的に見ている企業も目立った。105円想定の企業は、コマツ、三菱電機、日本電産、NEC、富士通、ソニー、ローム、アイシン、リコー、任天堂などだ。現在の為替水準との乖離は7円ほどのため、かなり保守的に会社計画を構築しているといえよう。

とりわけ市場で話題となったのはファナックだ。同社の想定為替レートは1ドル100円、1ユーロ110円と、これまでの決算発表銘柄のなかではダントツの水準といえよう。

同社の2018年3月期会社計画は売上高、営業利益を前年比増、経常利益、当期利益は前年比減と見込んでいる。終わった2017年3月期が2ケタの減収減益だったことを考慮する必要はあるが、これだけ保守的に設定しても売上高、営業利益は前年を上回ることはポジティブ視されそうだ。こうした堅調な業績見通しが、日本株の買い材料となっていると筆者は考える。

トヨタの決算次第で、日経平均2万円台回復も

日経平均は2015年12月2日以来の2万円台回復まであと555円弱まできているなか、5月10日には、投資家心理を大きく左右するトヨタ自動車の決算発表が予定されている。

日経平均へのインパクトは、指数算出方法の関係もありファーストリテイリングやソフトバンクグループ、ファナックよりも小さいが、市場や投資家への影響力は、やはり大きい。同社は昨年12月に7215円をつけて以降、調整局面を迎えていた。ようやく6000円台を回復したレベル(2日終値6143円)にとどまっており、同社の戻り余地は大きいと見る。トヨタの決算(とくに想定為替レート)次第では、一気に連休明けの5月第2週で2万円台を回復する展開も見られそうだ。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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