日経平均は8日以降、一気に「2万円」に挑戦か シカゴの先物ではすでに年初来高値を上回る

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市場では米国の6月利上げをほぼ織り込みつつあるといえよう。一時は昨年11月以来の水準まで低下していた米国10年債利回りも、足元は2.3%台半ばまで戻している。ただ3月の中旬には2.60%台に乗せていたことを考慮すると金利は低下しており、足元のドル円が112円台で推移しているのも仕方ないかもしれない。地政学リスクの台頭やトランプ政権に対する政策期待が3月時点よりも低下していることも、米国10年債利回りがさえない理由としてあげられそうだ。

発足から100日が経過し、米国のトランプ政権の「ハネムーン期間」が終わったことで、政策実行能力が試されることからも、米国10年債利回りの上昇を背景としたドル高円安は進みにくいと考える。もちろんトランプ大統領による「ドル高けん制発言」も影響していると思うが、トランプ政権に対する思惑だけで上昇する相場は終了したと見ておいたほうがよさそうだ。

日銀のETF買いの効果が大きい?

ドル高円安が進みにくくなっているなかでも、前出のように円建てCME先物は1万9700円台に乗せており、日経平均は年初来高値更新を試す展開を迎えている。そこで、足元の日本株の需給面を整理したい。

東京証券取引所が、毎週木曜日の引け後に発表している投資部門別売買動向では、外国人が現物株を2770億円買い越したが、先物(3531億円の売り越し)と合算すると、トータルで760億円売り越している。

とりわけTOPIX(東証1部の全銘柄を対象とした指数)先物を5週連続で売り越していることから、中長期的に日本株に注目する投資マネーがジワリと流出している可能性がある。

通常なら4月や11月は外国人投資家が買い越すことが経験則として知られている。筆者も3月28日の寄稿でこのことにふれているが、今年はどうやら日本株売りを進めているのかもしれない。それでも下がらない日本株の動きを見る限り、需給面では日本銀行による上場投資信託(ETF)買い入れの効果がやはり大きいのかもしれない。

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