「エクセルの鬼」が実践する5つの高速ワザ 「1%の工夫」で今すぐスピードアップできる

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(5)エクセル作業を始める前に「仮のエクセル」を共有する

エクセル作業というと、1人でやっていると思ってしまう人が多いですが、本当にそうでしょうか? あなたが今作っている資料は、上司から作成を頼まれたり、チームで分担しているものではないでしょうか? エクセル作業に時間がかかる理由のひとつに、エクセルを使ってやりたいことがイメージできないまま作業を始めてしまうことが挙げられます。

たとえば、来年度の売り上げ計画をエクセルで作成することになったとしましょう。上司からは、「販売店別や商品別など、売上計画を『いろいろ』細かく見たい」というリクエストがありました。「いろいろ」細かくという上司の要望に応えるため、細かなデータをエクセルに入れ込みます。しかし結局、用意したデータのほとんどは見られることがありませんでした――。この場合、見られなかったデータの作成に費やした時間はすべてムダになってしまいます。

アウトプットのイメージを作り、共有しておく

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こうした事態を防ぐために最も重要なのが、いちばん最初にアウトプットのイメージ、いわば「仮のエクセル」を作って、共有しておくこと。そのメリットは、

(1)作業中に迷いがなくなることで、作業スピードが速くなる

(2)チームでイメージを共有することで、作業のやり直しがなくなる

の2つです。

たとえば、図のような「仮のエクセル」を作ったところで、経営陣から「雑誌広告は雑誌別の内訳を出してほしい」というリクエストがあったとしましょう。こうした声を事前に拾っておくことで、そのリクエストを反映させた形で作業を進めることができます。

この「仮のエクセル」を作るうえで大事なポイントは、ざっくりでいいので、速く完成させること。数字が入っていなくてもエクセルを見れば表やグラフのイメージは共有できますから、空欄だったり、仮の数字だったりしても問題ありません。

仮のエクセル
熊野 整 元モルガン・スタンレー証券

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くまの ひとし

ボストン大学卒業後、モルガン・スタンレー証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社し、投資銀行本部で大型M & Aや資金調達プロジェクトをリード。退社後はグロービス経営大学院にてMBAを取得。その後、エムスリー株式会社に入社し、事業責任者として事業計画の立案から戦略遂行、予算管理まで行う。現在はスマートニュース株式会社にて、財務企画として収益計画の策定や資金調達を担当。「グローバル投資銀行のエクセルスキルを、わかりやすく伝えたい」というモットーの下、2013年10月から週末や平日夜に個人向けエクセルセミナーを開催し、これまでにのべ1万人以上が受講する大人気セミナーとなっている。大手上場企業を中心にコンサルティングを行うほか企業研修も数多く開催し、多くのビジネスパーソンに収益計画の作成指導を行っている。著書に『外資系投資銀行のエクセル仕事術』(ダイヤモンド社)、『外資系投資銀行の資料作成ルール66』(プレジデント社)がある。

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