「骨太方針」をめぐる予算の議論が低調な理由

国政選挙なく、政策の争点も際立たぬ現状

今春の経済財政諮問会議で骨太の方針を発表する安倍晋三首相(写真:共同通信)

2017年度は始まって1カ月しか経っていないが、2018年度予算の編成方針をめぐる議論はもう始まっている。

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予算編成を歳時記的にみれば、例年、6月に内閣が閣議決定する「基本方針(俗称、骨太の方針)」を皮切りに、これを踏まえた概算要求基準が各省庁に示される。この概算要求基準では、来年度予算でどのような事務事業の予算ならどれくらい減らさなければならないか、また増やしてもよいかなどが大まかに示される。来年度予算でどの予算を増やしたり減らしたりするかは、当然ながら、政権として政策の優先度を踏まえて決めることになる。だから、細かく予算のメリハリを議論する前に、政策の優先度をまず明確に示さなければならない。6月の「骨太の方針」ではその政策の優先度を明確にすることが1つの重要な役割となる。

その後、予算編成は概算要求基準に従って、8月末ごろまでに各省庁から予算の概算要求が提出される。そして秋には閣内で予算案を取りまとめる財務大臣の下、財務省と各省庁との間で予算の個別内容について折衝が行われ、最終的には12月下旬、政府予算案として閣議決定され、翌年1月には国会に提出される。

医療と介護の制度改革も抵抗なし

最終的な政府予算案がどうなるかは、現時点では予断を許さないが、まずは最初の段階である「骨太の方針」に、どの政策が優先度で高く盛り込まれるかが、予算編成の行方を左右する。

ちょうど大型連休を挟む4~5月の季節は、予算編成過程においては、「骨太の方針」に自らが推す政策をいかに優先的に盛り込んでもらえるか、が関心の的となっている。また、各省庁も「骨太の方針」がどうまとまるかを強く意識し、審議会等での議論を進めている。

2018年度予算に向けた議論は、例年と比べると、静かな滑り出しといってよい。確かに、当連載の拙稿「『こども保険』と『教育国債』は、何が違うのか」でも触れたこども保険や、整備新幹線をはじめ、予算がらみでいくつかメディアで取り上げられている。だが、森友学園問題、あるいは北朝鮮や欧米の政治経済情勢のほうに関心が集まっており、この季節にしては予算関連の話題は、例年に比べると低調だ。

その理由はいくつかある。1つには、国政選挙が近いとの見通しが遠のき、政策の争点を強いて明示する特別な理由がないことがあろう。消費税再増税も、2019年10月と2年以上先のことだし、財政問題で目先のひっ迫する状況にもない(この緩慢な状況を許してよいのかという話はあるが)。

もう1つの理由は、政策的経費の中で最大である社会保障費、特に医療と介護の制度改革が、比較的順調に進み、改革の進捗に激しく抵抗することはなく、厳しい利害対立が今のところない状況にあることだ。社会保障改革がうまくいかないと、社会保障費の膨張を止められず、財政当局との間で激しい論争となるのだが、目下そうした状況にはない。

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