大手生保の運用担当は市場をどう見ているか 超低金利と為替のボラティリティに悩む

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日本銀行が2016年2月にマイナス金利政策を導入して以降、大手生命保険会社は一段と運用が苦しくなった(撮影:尾形文繁)

主要生命保険会社の2017年度上期の運用方針が4月26日までに出そろった。主要な運用先である国内債券は2016年度と比べ、総じて減少か横ばいとする一方、外国債券や国内外の株式を積み増す会社が目立った。

日本銀行の金融緩和が長引き、国内金利は低位で推移している。今すぐに生保各社の経営が大きく揺らぐことはないが、低金利の長期化は生保の経営体力をじわじわと奪いつつある。

投資対象を海外やオルタナティブに広げていく

最大手の日本生命保険は約63兆円の運用資金を円金利資産7、円金利以外の資産3の割合で配分する方針を続ける。2016年度は国内債券や貸し付けなどの円金利資産を減らす一方、オープン外債や外国株式など円金利以外の運用資産を積み増した。

同社の秋山直紀・財務企画部長は「国内金利が低位に推移する中で、2017年度も国内債投資を抑制していくが、インフラやESG債(注)など成長・新規領域分野に今後4年間で1.5兆円を投資していく」と話す。

低金利下における打開策として、資産運用の強化は各社に共通する課題だ。

明治安田生命保険は今年度からスタートする新しい中期経営計画の中で「資産運用の高度化」を掲げている。具体的には、クレジット投資部を新設し、所管が分散していたクレジット資産の投融資をまとめて担当させることにした。今後3年間で国内外合計1.6兆円を投融資していく。

同社の山下敏彦副社長は「ガバナンス体制やシステム基盤を含め、大胆に変えていく。インハウス(社内で直接)での海外公募社債投資にも新たに取り組み、投融資の幅をさらに広げる」と話す。さらに、8月に予定している外貨建て保険商品の発売に合わせ、運用体制も整備していく。

(注)ESGは環境・社会・ガバナンスの略で、業績以外の企業の社会的責任を評価し投資する債券
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