定年後は月8万円稼ぐことができれば十分だ 「退職時に3000万円必要」は本当か

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さらにこのハードルをもっと下げる方法があります。それは保険の見直しです。

保険の見直しなどでさらに老後の暮らしが楽になる

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日本人が年間に払っている生命保険料の平均額は年間38万5000円(生命保険文化センター 平成27年度 「生命保険に関する全国実態調査」)だといいますから、月額にすれば3万円以上の保険料を払っています。

これを見直すことで必要な金額を8万円よりもさらに少なくすることができます。また現役時代には、毎日ランチや喫茶店で1日1000円ぐらいのおカネを使っていたかもしれません。

それらがなくなればこれも月に2万円程度は減らせます。こうして考えていくと、それほど高い収入を期待しなくても働いて月に数万円程度の収入を得ることは、思っているよりはそれほど難しくないし、それによって、老後の暮らしはぐっと安定してくるのです。

毎月の家計で足らない分を働いて得ることができれば、退職金には手を付けず残すことができます。将来、健康が悪化して介護の必要が出てきたり、有料老人ホームに入ったりすることを考えると、できるだけキャッシュは取り崩さずに、おいておいたほうが良いことは明らかです。

それに加えて、無理をせずに、のんびりと働くことができれば、おカネのことのみならず、健康や精神面でも良い影響が出てきます。退職時に何千万円持っていても運用に失敗してなくしてしまえば、元も子もありません。しかも、資産運用はいくら勉強しても最終的にうまくいくかどうかは不確実なものです。不安定な運用に老後を委ねるよりも、安定して働けることに向けて準備をしたほうが良いのではないでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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