日本の「健康ブーム」が、実は本物でない理由 「東京マラソン」も「皇居ラン」も大盛況だが…
人々のスポーツ実施状況をもう少し詳しく見てみよう。
スポーツ実施率を年代別にみると、最も高いのは70代の65.7%だが、最も低い40代は31.6%であり、何と70代の半分以下だ。20代~40代のスポーツ実施率は低く、60代~70代が高い。これは、長く続く傾向だ。
また、20代~40代では、特に女性のスポーツ実施率が低い点も見逃せない。女性は、各年代で30%を切ってもいる。
運動やスポーツができない理由
運動やスポーツをしない理由としては、「仕事や家事が忙しいから」が断トツの1位であり、これは何年も不動の1位である。
運動やスポーツをしている人に目を向けるとどうだろう。取り組む理由として「健康のため」が最も多く、次に「体力増進・維持のため」「楽しみ、気晴らしとして」「運動不足を感じるから」と続く。
行った種目は、「ウォーキング」がトップ。「体操」「トレーニング」がその後に来る。ほかには、男性は「ランニング」と「自転車」が人気で、女性は「エアロビクス・ヨガ」。つまりは全体的に1人でできる種目が上位にきている。その反対に、野球やサッカーなどの団体競技は、比率にするとほんのわずかだ。
定年退職し、時間がある高齢者が運動やスポーツを盛んに行い、働き盛りや子育て中の人はその時間がない。運動・スポーツをやる人は、健康のために1人でできる種目を行っている。こんな現代のスポーツ実施者像が浮かび上がってくる。
国がスポーツ基本計画で目標として掲げているスポーツ実施率は65%だ。しかしながら、現在は42.5%で、しかも下降ぎみのスポーツ実施率を20%以上も高めるには、かなりのブレークスルーが必要だろう。
打開策の1つとして、スポーツ庁は今年度、「スポーツ人口拡大に向けた官民連携プロジェクト・ビジネスパーソン向け国民運動(運動・スポーツ習慣づくり)」を展開する。主要な課題の一つであるビジネスパーソンの運動・スポーツ習慣の定着に向けたムーブメントを創出し、医療費の抑制への貢献や健康寿命を平均寿命に限りなく近づけられる社会を目指す。
ところで私自身はというと、「40代・男性ビジネスパーソン」。まさに運動・スポーツをしない代表格の世代・属性である。
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