自民党「大宏池会」構想に渦巻く利害と思惑

キングメーカー狙いの麻生氏への疑心暗鬼も

麻生副総理兼財務相にとり、当面の重要な政治イベントは4月18日に始まるペンス米国副大統領(左)との日米経済対話だが...。写真は2月に安倍首相とともに訪米したときのもの(写真:ロイター/アフロ)

今から17年前の「加藤の乱」で大分裂した自民党・宏池会(現岸田派)の"本家"や"分家"の再結集を狙う「大宏池会」構想が永田町の耳目を集めている。これまでも浮かんでは消えた同構想だが、今回は「ポスト安倍」の主役を演じようとの思惑があり、他派閥も警戒心を隠さない。

仕掛け人は安倍晋三首相の盟友を自任する麻生太郎副総理兼財務相。清和会(細田派=安倍首相の出身派閥)に並ぶ100人規模の巨大派閥を作ることで、「疑似政権交代を可能にして自民党政権を永続化する」との持論を実行に移そうというわけだ。ただ、麻生氏には安倍政権が突然行き詰まったときの「ショートリリーフ」役や、本格的ポスト安倍でのキングメーカー狙いが透けて見える。これが岸田派や谷垣グループ、さらには山東派の麻生氏に対する疑心暗鬼につながり、構想実現はなお見通せない状況だ。

山東派、谷垣グループに呼びかけ

「自民党の中で大きな政策集団が切磋琢磨(せっさたくま)するほうが政治として安定する」――。4月12日夜、都内で開かれた麻生派パーティーで麻生氏がダミ声を張り上げ会場を沸かせた。

2006年に旗揚げした麻生派は、第2次安倍政権下で「首相の後見人」として派閥拡大を続け、今や細田派、額賀派、岸田派に次ぐ第4派閥だ。麻生氏はなお、山東派や谷垣グループを"吸収合併"して党内第2派閥も狙う構えで、最終的には岸田派との合流による「大宏池会」実現で細田派(清和会)と並ぶ100人規模の巨大派閥を目指す。政権が危機を迎えると派閥の合従連衡でトップを替えて乗り切るという、いわゆる「振り子の論理」が自民長期政権の源泉となってきた歴史を踏まえた発想だ。

麻生氏はまず、かねて友好関係にある山東派との協議を先行させる考えで、5月の連休明けにも、同派会長の山東昭子元参院副議長と会談する見通し。その一方で4月上旬には自転車事故によるケガで療養中の谷垣禎一前幹事長にも手紙を届け、谷垣グループとの合流を呼びかけた。ただ、谷垣氏は返信の手紙の中で「もう一度、私自身が同志の顔を見て、議論しながら方向を定める必要がある」と早期合流を事実上拒否する意向を示した。麻生氏は「連休後に合流の動きが加速する」(側近)と自信満々だが山東派内にも慎重意見があり、「党内第2派閥への挑戦も前途は厳しい」(自民長老)との見方も少なくない。

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