「森友解散」説ににじむ「1強」安倍政権の焦り 「軽率」と「誤算」の連鎖の果てに泥沼化
「カラスが鳴かない日はあっても『森友』という言葉を聞かない日はない」――。"底なし沼"とも見える「森友学園疑惑」で、盤石のはずだった安倍晋三首相率いる1強政権が揺れている。
前半国会の最優先課題だった2017年度政府予算は政府与党のもくろみどおり余裕を持っての年度内成立となったが、野党側は後半国会でも「あらゆる機会」(民進党幹部)をとらえて「疑惑」を追及する構えだ。特に、同学園の籠池泰典理事長(退任表明)が衆参両院予算委員会での証人喚問で証言した「首相からの100万円寄付」や「首相夫人の関与」について、安倍昭恵首相夫人の証人喚問を求めている。
これに対し首相や昭恵夫人は「完全否定」し、与党も喚問拒否の方針を明確にしているが、疑惑の核心とされる「国有地超格安払い下げ」の真相は一向に明らかにならない。各種世論調査でも「政府側の説明には納得できない」との声が圧倒的なのに、永田町では疑惑払拭を狙うかのような「森友解散」説が浮上していることにも、「疑惑の泥沼化」への政権側の焦りがにじみ出ている。
安倍首相「総理大臣だけでなく議員も辞める」
事の発端は2月9日に一部メディアが報じた学校法人・森友学園への国有地払い下げ問題。大阪府豊中市の国有地を財務省理財局が「ゴミ処理」などを理由に相場から8割以上も値引きして払い下げたことが「政治的圧力があったのでは」との疑惑につながった。しかも、同学園が建設中の小学校の名誉校長に昭恵夫人が就任(後に辞任)していたことが騒ぎを大きくした。首相は国会で「私や家内、事務所が関係していたら総理大臣だけでなく議員も辞める」と啖呵を切り、籠池氏との面識も否定し、「昭恵夫人から100万円の寄付をいただいた」との同氏の爆弾証言についても「ありえない話」などと全面的に否定した。
これに対し野党側は「偽証すれば罪に問われる証人喚問での証言は重い」(民進党)として「否定するなら、昭恵夫人も証人喚問に応じるべきだ」(同)と勢いづく。籠池氏の証人喚問に絡んで昭恵夫人と籠池氏夫人とのメールのやり取りが明るみに出た。また、当時「首相夫人付き」だった経済産業省の女性職員が土地取引にかかわる籠池氏の「要望」の手紙を受けて財務省担当者に問い合わせた結果を「回答」したファクスが公表された。こうしたことも、疑惑の拡大につながった。
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