「貯金できないと死ぬ」世界は本当に健全か

税金は「みんなの貯金」と捉えよう

「貯金できないと死ぬ」世界に未来はあるのでしょうか(写真 : Graphs / PIXTA)
人々が働き、貯蓄に励むのは、「そうしないと生きていけない」という現実があるからだ。しかしその現実が、生活保護受給者へのバッシングをはじめ、社会に多くの軋みを生み出している。
解決策はあるのか。そもそも「生きる手段」は誰が保障すべきなのか。小田原市の「生活保護行政のあり方検討会」の座長を務め、『18歳からの格差論』の著者でもある慶應義塾大学の井手英策教授と、北九州で長年ホームレス支援活動を行ってきた、東八幡キリスト教会牧師でもあるNPO法人抱樸(ほうぼく)の奥田知志理事長に聞いた。

前編はこちら

すべての人が「社会保障」を受ける世界

『18歳からの格差論』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

奥田前回(慶大教授が「弱者救済はやめろ」と言う理由)、井手さんは「格差是正はダメ」「弱者救済ではもたない」とおっしゃっていました。貧しい人だけに補助をするから、「生活保護受給者は高い医療をただで受けている」というたぐいのねたみを生み、社会を分断してしまう。ならば医療や介護、教育など、生活のベースを「みんな」に保障することで、分断することなく格差を解消できるのではないかと。

私も井手さんの言うように、肝心なものが「みんな」のレベルで保障されていないことが問題だと思います。特に生存にかかわる多くの部分が「保険制度」で担われている現在の社会のあり方は問題です。結局、保険に入っていない人は、実際にはサービスを受けられない。国民健康保険の未加入率は2割を超えたそうですが、保険制度としては崩壊寸前です。ベースの部分はもっと普遍的でなければならない。「払った人だけがもらえる」という保険制度でやっている限り生存権は保障できません。また「払っている人」と「もらっている人」の分断が深まるだけに留まらず、差別性や攻撃性が今後一層強まると思います。

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