なぜ日本の「伝統工芸」は世界で売れないのか

ホントはすごい「工芸大国ニッポン」の実力

東京・丸の内の商業施設KITTEにある「中川政七商店」東京本店(写真提供:中川政七商店)
工芸品のSPA(製造小売り)モデルを確立し、業界に特化したコンサルティングで、多くの工芸メーカーを再生させた中川政七商店13代目当主・中川政七。今、最も注目される若手経営者が次に繰り出したのは、全国に300ある産地を元気にして、日本を工芸大国にするという大構想だ。
「当たり前の経営とブランドづくりさえできれば伝統産業は甦る」と言う中川氏が、新著『日本の工芸を元気にする!』にも書ききれなかったグランドデザインの核心を明らかにする。

なぜ日本はフランスやイタリアに勝てないのか

『日本の工芸を元気にする!』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

日本から見た貿易赤字国の上位には、中国、オーストラリア、サウジアラビアなどの名前が並んでいます。多くが資源国ですが、その中で異色の存在なのがフランスとイタリアです。少し意外な気がしますが、中身を見ると、なるほどそういうことかと合点がいきます。輸入品目の上位に、バッグやワインが挙がっているのです。

ワイン好きの知人はチリ産や南アフリカ産のコストパフォーマンスの良さを認めながらも、ここぞというときには、やはりフランスのボルドーやブルゴーニュ、イタリアのトスカーナなどのワインを開けることが多いといいます。幅はあれど、どれもなかなかの価格です。

ファッションに関心のない方でも、フランスのエルメスやルイ・ヴィトン、イタリアのフェンディやプラダなどの名前は知っているのではないでしょうか。数百万円もするにもかかわらず、生産が追いつかず数年待ちというバッグもあります。バッグはバッグ、物を入れて運ぶという機能に変わりはないのに、日本製のしっかり作られた革のバッグの何倍もの価格で売れるのは、それだけの価値があると認める人が存在するということです。

スペックや価格を競うのではなく、その商品やサービスが持つ本質的な価値によって選ばれて、それにふさわしい金額を支払ってもらう。私の考えるブランドづくりのひとつのお手本がここにあります。

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