最高速度を変えず「新幹線が速くなった」ワケ 東京-博多間が最大で7分短縮

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たとえば、姫路駅付近から西の区間では最高速度300キロメートルでの運転が行なわれているが、時速300キロから時速30キロまで減速する場合、アナログATCではいくつかの段階を経て時速30キロまで減速していた。だが、デジタルATCでは減速に必要な距離を逆算して、ブレーキを効かせ始めるギリギリの地点まで時速300キロで走り、そこから滑らかに一気に時速30キロまで減速することができる。

つまり、アナログATCと比較すると、それだけ高速運転のできる距離が伸びるということになる。このデジタルATCは加減速が発生するたびに効果を発揮する。例えば、新大阪-博多駅間の場合、途中停車駅が4~5駅の「のぞみ」「みずほ」の場合は平均約1分の短縮だが、途中の17駅に停車する「こだま」の場合は、平均約15分の所要時間短縮になる。

今回の改正によって、東京-博多間の「のぞみ」は最速で4時間46分となり、1997年に500系による「のぞみ」が東京-博多直通運転を開始した際に「5時間のカベ」を破って以来の最速記録となった。このデジタルATCは、ダイヤ改正に先駆けて2月19日より稼働している。

出足の速いN700Aの威力

次に、もう1つの要因である車両の更新についてだ。今回のダイヤ改正では、東海道・山陽新幹線を直通する全ての「のぞみ」「ひかり」がN700Aタイプによる運転となった。これにより、一部の「のぞみ」「ひかり」が東京-博多駅間において最大7分の所要時間短縮となるなど速達化が図られた。

現時点で、東海道・山陽新幹線には500系、700系、N700Aタイプ(N700AとN700系改造車)の3種類の車両が走っている。このうち、500系は8両編成で山陽区間の「こだま」専用となっているので、全体への影響は軽微だ。問題は700系である。セミアクティブ・サスペンションを装備するなど乗り心地の向上を図った名車だが、残念ながらN700Aの性能には及ばない。

まず最高速度だが、N700Aが東海道区間で時速285キロ、山陽区間は時速300キロなのに対して、700系は東海道区間で時速270キロ、山陽区間でも時速285キロにとどまる。また、起動加速度については、N700Aが通勤電車並みの2.6キロ/時/秒の加速を誇る一方で、700系は2.0キロ/時/秒と加速も並の性能だ。

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