警察とマスコミ、偽らざる「不適切な」関係

なぜ記者クラブは警察批判ができないのか

警察と記者クラブの関係に適切な距離はとれているのか(写真:kazumi.k / PIXTA)

新聞やテレビ、ラジオで事件・事故のニュースが流れない日はない。このほか、週刊誌や月刊誌などの雑誌、また最近ではインターネットを使ったウェブページにも、警察関連の記事が掲載される。

筆者は北海道警察(道警)本部の課長、警察署長、あるいは他府県警察の捜査第2課長として、記者から取材を受ける立場にいた。在職中には記者たちが警察本部や警察署の各課に出入りし、直接、現場の課長らから取材していた。署長時代には時間があれば、記者を署長室に招き入れていた。

当時の若い記者たちは、特ダネ(他紙に先駆けて報道する重大ニュース)を狙っていた。特ダネとはいっても、多くは「近く、○○事件の捜査着手か」といった予告的な内容で、他紙に先駆けて記事にする意味があるのかと思いつつ対応した。しかし、手がけた多くの汚職事件の捜査で彼らに事前に察知されなかった事件は、わずか1件だけだった。記者たちは警察内部にネタ元(情報源)を持っていたのだ。

警察は「リーク」で記者に貸しをつくる

捜査が始まると頻繁に、「夜討ち、朝駆け」なる取材を受けた。記者対応の基本は、ウソは言わないこと、ミスリードをしないことだと教えられた。なかには的外れな質問をする記者もいたが、プライドを傷つけないように、それとなく間違いを指摘したこともある。まるで禅問答のようなやり取りで、お引き取りを願ったこともあった。記者とのこうしたやり取りは、ある種の緊張感があったが、「書くな」とは言ったこともない。

記者との信頼関係を築くためには、彼らの情報を他社に漏らさないことが肝要だが、一方で、ほとんどの記者が知っている情報を知らない記者には、「今頃こんなところにいていいの?」と声をかけたこともある。

意図的に記者をコントロールするために使われるのが「リーク」だ。リークとは、秘密の情報を漏らすこと、つまり意図的な情報漏洩だが、特定の記者に“貸し”をつくるという効果があると同時に、警察捜査に対する世論づくりにも使われる。

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