「残業100時間規制は是か非か」論でよいのか 健康維持とスキルアップの両立こそが本質だ

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長時間労働が「恒常的」になることは禁止すべきだが…(写真:NOBU / PIXTA)
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一連の過労死問題や健康問題を踏まえて、残業規制の議論が盛んです。現在は、36協定の上限を月に100時間とする方向で百花繚乱の議論がなされております。労働時間の問題が、これほど国民の関心事となったことはなかったのではないでしょうか。

長時間労働問題の本質に斬り込む

筆者としては、労働問題に関する議論が深まるのは非常に歓迎されるべきことであると、とらえていますが、一方で、いまだに表面的な議論が多いと感じることもあります。そこで、今回は労働時間問題について、問題の本質は何なのか、整理したいと思います。

大前提として、健康問題などの観点から、「長時間労働問題を解消すべき」ことは当然です。しかし、その本質的なポイントは、「恒常的な」長時間労働を指していることに注意を要します。つまり、「1年中ずっと忙しい」のか、「ある時期だけ忙しい」のかはまったく別の問題であるということです。昨今の議論では、これが混同されているように思われます。

今、国会で議論されているのは、刑事上の罰則付きの法定労働時間上限を、月100時間とすることなどです。この「100時間の残業」には一部の例外業種を除き、上限をオーバーすることは認められなくなります。これでは、多くの会社にとって影響が出ることになります。

時期的な繁閑により、「今月は特に忙しい!」という経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。たとえば、業種によってもその理由はさまざまで、クレーム対応、外部要因による突発事象、イベントなどが考えられると思います。週1日休みがあり、土曜日は出勤、そして毎日3時間程度の残業をした場合、月100時間に到達します。繰り返しになりますが、このような長時間労働が「恒常的」となることは禁止すべき、と筆者も考えています。しかし、「1年のうち、1カ月でも超えてはいけない」ということは、また別の議論とも思うわけです。

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