形だけの長時間労働規制は、害悪でしかない まずは「実労働時間の把握」を徹底すべきだ

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職場を出るためには、自分のこなすべき職務が明確になっていることが必要だ(写真:kou / PIXTA)

最近、政府が推し進める一億総活躍社会に向けた「働き方改革」に関する議論が盛んです。特に、長時間労働問題についてはみなさんの関心も高いようです。この問題は、前回の記事でも取り上げました。昨今の事情の変化を受けて、これから長時間労働対策をするという会社も多いでしょう。本連載では、法的な側面を中心に論じてきましたが、今回は、現場の実務としてどのように長時間労働対策を考えればよいか、考えていきたいと思います。

まず、重要なのが、労働時間の「実態」を把握するということです。自己申告や勤怠記録ではありません。「現実に、実際働いていた時間」がポイントになります。なぜなら、自己申告などでは実態を反映していないケースもみられるからです。労働時間の実態がわかれば、あとはなぜ忙しいのか、一時的なのか、恒常的なのかを分析します。そうすると、特定の部署や人に負荷が偏っているケースがよくみられます。この場合は、全社的な問題よりも先に、その部署自体の改善が必要となります。長時間労働対策においては「実労働時間の把握」が1丁目1番地です。

経営トップがすべきことは?

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細かな労働時間短縮のための業務改善は各社各様ですので、今回はむしろ大きな視点、経営トップとして行うべき2点について述べます。それは、①長時間労働削減方針に責任を持ってやり遂げる意思を示すこと、②やらなくてもよいことを決めることです。

まず、①について、「労働時間を削減せよ、でも後は現場でよろしく」では絶対にうまくいきません。本気で労働時間の削減をすると、やるべきでない業務がたくさん出てきます。②とも関連しますが、本当にそれを「やらなくてよいのか」という最終判断は、やはり経営トップが行う必要があります。極論すれば、「売り上げが下がってでも労働時間減らしますか?」という選択を迫られるため、現場では決めきれない部分が出てくるからです。

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