焼肉店「にくがとう」がかなり規格外なワケ まるで食のエンタメ!海外ブロガーも注目

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「イチボの一枚焼」。にくがとうでは、店員がベストな焼き加減を教えてくれる(撮影:今井康一)

まるで、豪華キャストが次々舞台に現れるように、赤身肉がいろいろな姿で登場する。すき焼き風のタレに漬け込んで焼いた肉を茶卵にくぐらせる「イチボ(お尻の部分)の一枚焼き」、カンボジア生こしょうをアクセントにした「ヒレの至福の握り」、ニンニクとパセリ風味のエスカルゴバターを添えた「タンのブルゴーニュ風」……。

近年、世界的に赤身肉への関心が高まっており、日本でも赤身肉を出す店が増えている。が、東京・人形町にある赤身焼肉専門店「にくがとう」は一味違う。従来の焼肉店のイメージを打ち破るエンターテインメント性にあふれているのだ。独創性豊かな料理がそろっているだけでなく、料理によっては店員が炭火の七輪に載せた焼き網の上で、肉を適当な頃合いに焼いてくれる。薄い肉を素早くあぶったり、赤身のかたまりを、脂を落としながら焼いたり、ホルモンは焼き色がつくまで火を通したり――ベストのタイミングで肉を味わえるよう考え尽くされている。

海外のグルメブロガーも注目

にくがとうは、大通りから離れた場所にあり、一見、飲食店には向かない立地に見える。しかし、口コミベースで客数は順調に増加。創業から3年経ったいまや、1階の24席と、2階の8~18人を収容する個室は予約でほぼいっぱいになる。最近は、欧州やアジアを中心に海外からも観光客が訪れる。シンガポールなどのグルメブロガーが紹介して、その名を知られるようになったからだ。

にくがとうの赤身盛り(時価、左上から時計回りに黒毛和牛のランプ、ふんどし、土佐のあかうしカールちゃんの50日熟成、撮影:今井康一)

豊富なメニューときめ細かいサービスと聞けば、よほどの高級店と思うかもしれないが、客単価は約6000円とリーズナブル。中には採算ギリギリラインのメニューもあるが、「にくがとうは最高の和牛で焼肉を気軽に楽しめながら一工夫されているのが特徴。価格に関しても原価から売値を考えるのではなく、お客さんがこの値付けでうれしいなと思えるような価格にしている」と、オーナー兼プロデューサーの三浦剛さんは話す。

もともとウェブデザイナーだった三浦さんは無類の肉好きで、「焼き肉屋には週4ペースで通っていた」(三浦さん)ほど。ただ、「7年ほど前はサシ(霜降りの脂部分)が多いお肉を出す店が多く、胸やけをしてしまったこともあり、赤身専門のお店はないかなと思っていた」と、創業のきっかけを振り返る。

オーナーの三浦さん(右)と、現場最高責任者の宮野さん(左)(撮影:今井康一)

ただ肉を焼いて食べるだけでなく、焼き肉という「体験」そのものを楽しむ――。これがにくがとうが目指す店のスタイルだ。実際、にくがとうには、三浦さんのこだわりが随所に見受けられる。折々でメニューを更新し、肉のカッティングから味付けまで、料理を担当するスタッフと試行錯誤を重ねながら、ひらめきやアイデアをメニューに取り入れている。

現場最高責任者の宮野祐輝さんは、もとは魚専門の料理人だったが、にくがとうでは肉のカッティングを担当。「肉の厚み、角度など、1ミリの違いで味わいに違いが出るので、意識してこだわっている」と、それぞれの肉や料理に合った肉の切り方の研究に余念がない。

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