森川亮「若者はリアルに価値を求めている」 ミレニアル世代はシェアしない

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──これまで多くのウェブサービスが中国を目指し、そして、失敗してきました。サービスの浸透が非常に難しい国として有名ですが、中国では手応えがありますか?

おっしゃるとおりで、これまでにいくつもの会社が中国進出に失敗してきました。私がコミュニケーションアプリの「LINE」で中国に進出したときもそうです。敗因は大きく分けてふたつありまして、ひとつは競争が激しいタイミングで進出したこと。もうひとつは、プラットフォームを取りに行こうとしたことだと考えました。中国では、プラットフォームに進出しようとすると政府が出てきますから。

ただ、私たちC CHANNELは今回、成功できそうな予感がしています。というのも、C Channelはいま、中国のソーシャルメディア「ウェイボー」を中心に広がっているんです。これは、既存のプラットフォームを利用して拡大していくという戦略です。

──自社メディアとソーシャルメディアを組み合わせるような、メディアの外にメディアをたくさん設ける「分散型メディア」ですね。

そうです。それでいま、大きな成功を収めつつあると考えています。中国はすごいですね。日本では、(動画再生回数やアクセス数などの)主要な指標となる数字をかき集めて作るようなところがありますが、中国では湧き水のように数字が伸びていきますから。人口規模が異なると、こうも違うものかと思います。

「日本を元気にしたい」

──LINEがまだ成長する余地があるときに、社長を退任してC Channelを起業しましたよね。それほどこのサービスで実現したいことがあったのですか?

もともとは「日本を元気にしたい」という思いでC Channelを始めました。というのも、エンターテインメント業界でグローバルにビジネスを展開していると、「日本人は元気がない」と言われることが多くあるのですね。慎重過ぎるし、コンテンツも出て来ないし、意思決定も遅い。そのイメージを変えたいという思いが強くありました。

しかも現代は、マスメディアがネガティブなことばかりを発信していて、若い人が夢を持てない社会になっていると感じています。だから、ポジティブなことばかり発信しているメディアを作りたかったんです。

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