「満員電車ゼロ」に時差通勤はどれだけ有効か

1日利用者の何割がラッシュ時に集中?

対象としたのは最混雑区間が都内にある路線で、国土交通省の「東京圏における主要区間の混雑率」に登場する路線を参考とした。JRは7路線(京浜東北線・山手線・中央線快速・中央線各駅停車・総武線快速・総武線各駅停車・常磐線各駅停車)、大手私鉄は10路線(東武伊勢崎線・東上線、西武新宿線・池袋線、京成押上線、京王線・井の頭線、小田急線、東急東横線・田園都市線)の計17路線だ。

今から30年前、ちょうど国鉄最後の年度にあたる1986年度、上記17路線の朝ラッシュ時への集中率は平均29.1%。大まかに言って、1日に各線の最混雑区間を通る利用者のうち、約3割が朝ラッシュの1時間に集中していたということになる。

この数値は、5年後の1991年度には28.8%、1996年度には28.2%、2001年度には27.7%と次第に低下し、2011年度には26.4%まで下がった。「1日の約3分の1」から「約4分の1」まで集中の度合いが下がったことになり、わずかではあるがラッシュのピークが分散化していることがうかがえる。

とはいえ、大ざっぱに言えば朝4時台から深夜1時ごろまで走っている電車のうち、朝のわずか1時間に1日の輸送量の4分の1が集中しているわけだ。

集中率が違うと混雑率も変わる

2011年度の数値では、ラッシュ時1時間への集中率がもっとも高かったのは常磐線各駅停車(亀有→綾瀬)で39.3%。1日に同区間を通る乗客のうち、約4割が朝の1時間に集中していることになる。次いで京成押上線(曳舟→押上)の39.1%、総武線快速(新小岩→錦糸町)の35.7%、東武伊勢崎線(小菅→北千住)の32.8%と続く。いずれも首都圏の東部から都心へ向かう路線だ。

逆にもっとも低かったのは中央線各駅停車(代々木→千駄ヶ谷)の18.5%。同線は首都圏のJR線で唯一混雑率が100%を切っており、2011年度の数値では90%だ。実際、朝ラッシュ時の同線はほかの路線に比べて車内のスペースにゆとりが感じられる。

だが、同区間の1日あたりの通過人員は16万5660人で、混雑率167%の常磐線各駅停車(亀有→綾瀬)の14万2630人よりも多いほか、ピーク時1時間あたりの輸送力も中央線各駅停車が3万4040人分、常磐線各駅停車が3万3600人分と大差ない。つまり、ラッシュ時への集中の度合いで混雑率にこれだけの差がつくわけだ。となれば、一定の規模の集団で時差通勤が実現すれば、インフラを大改造しなくてもそれなりの混雑緩和が実現するのでは……との期待も湧く。

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