東芝の社員は一刻も早く転職をすべきだ 会社にはもう十分すぎるほど裏切られている

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一方、今後の世の中に案外大きく影響するかも知れないのが、文科省の組織的天下り問題だ。首相官邸は、この問題を徹底的に調査するとしており、官僚OBの天下りが今後しばらく、今よりも難しくなることは、方向として間違いあるまい。筆者は、天下り規制を徹底的に行ってよいと思うが、「将来の人生まで面倒を見て貰える」ことが求心力の大きな源泉になっていた官庁の、組織の結束(今までが過剰だった)が「緩む」可能性が出て来た。

今後、官庁の力がやや削がれるのと共に官僚の人材流動化(早い時点に自力で民間に転出するなど)が進む可能性があるのではないか。総論としては「いいこと」だ。それにしても、文科省筋から違法なあっせんを受けて人材を受け入れ、さらに口裏合わせにまで協力していた早稲田大学で、鎌田薫学長が未だに辞任しない責任感覚には驚くしかない。各種の報道などを見ると、この方は法学者らしいのだが、本当なのだろうか。

「働き方」や「稼ぎ方」をもう一度見直せ

さて、東芝のような企業に勤めるにせよ、官庁勤めにせよ、一つの組織に人生を委ねることがますます難しくなっている。ベストセラーとなっている「LIFE SHIFT」(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット。池村千秋訳。東洋経済新報社)が述べるごとく、長寿化がますます進行しつつあるので、われわれの多くは働き方と人生計画を見直すべき状況にある。

同書が述べるように、計画的に自己教育を人生に組み込んだり、仕事を複線化したりすることが、必要でもあり、有効でもあると思うが、これらは急には進められない。

 組織で働く多くの人が今心掛けるべきは、組織の「外」の人との「人間関係のポートフォリオ」を作ることだろう。自分が新しい分野の学習をしていく上でも、新しい職場を確保する上でも、また、独立などの場合に必須の潜在顧客を持つ上でも、会社や官庁の肩書きに頼らない人的なつながりの集積が必要であり、有効だ。組織の「外」に持つ人材のポートフォリオは、育てるにも時間が掛かるし、メンテナンスも必要だが、時間と努力を投資する価値のある対象だ。

多くの勤労者にとって、経済的にも精神的にも、「資産運用」よりも「働き方、稼ぎ方」の方が重要な問題なので、「今、見直してみましょう」と是非申し上げたく思う。

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