さて、当面の問題の米国経済だが、相変わらず順調である。中国の経済も短期的には持ち直す傾向にあって、商品相場が堅調なのがその証拠である。世界的に、「もう少し財政政策を使え」という方向に向かいつつあることもプラスだ(日本では「特に」必要だが)。
資産価格がバブルに向かい金利の上昇から相場が崩れるまで突っ走る、典型的なパターンに見える。理屈上は、FRB(米連邦準備制度理事会)と米株価の動向に注意したいということになる。
だが、暴落は突然であり、世界に瞬時に連鎖するはずだから、「注意して見ていたからといって、暴落を避けられるわけではない」のが現実だろう。マーケットのコメンテーター(筆者も含まれるのかも知れない)の言に右往左往せずに、上昇相場について行きつつ、保有するリスク・ポジションが過大にならないように時々「少し」調整する(売却する)要領がいいと思う。相場的にはバブルは「尻尾が大きい」ので、すべて売却して早降りすることはお勧めできない。
東芝は解体進行中、社員は早く転職の準備を
さて、国内に目を転じると、働き方や人生計画を考えさせるような出来事が幾つか起こっている。
財界的には、何と言っても東芝の惨状だが、意図的不正に加えて追加的損失リスクもまだ残っている。医療機器、半導体部門など、競争力のある部分から切り売りして、底が抜けた原発ビジネスを死守する姿は、少なくともビジネス的には正常な判断だとは思えない。そこが「名門」の力なのか(皮肉だよ!)、なぜ上場廃止でないのかが不思議だが、実質的に解体プロセスが進行中であるように見える。
どこかで踏みとどまることができるかも知れないが、社員が幸せに働けそうなイメージは全く湧かない。優秀な技術者をはじめとして、それなりの人材価値をお持ちの方が多いはずだが(今度は皮肉でなくて、本音だ)、一刻も早く転職の準備に掛かる方がいいと思う。
特に人材市場の需給関係を考えると、ここから先の「会社の姿を見届ける」などという無駄なこだわりを持たない方がいい。社員は、会社にはもう十分すぎるくらい裏切られているのだから、ご自分の職業人としてのプライドと、個人(家族を含む)の幸せを大切にして欲しい。
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