外国人と働く日本人にありがちな「勘違い」 米国人をストレートに批判するのはNG!
ステレオタイプなイメージは役に立たない
――「異文化理解力」を教えることになったキッカケは。
米国で生まれ育ちましたが、大人になってからまず教師として南アフリカに住み、その後結婚してフランスに渡りました。その過程で、ある文化では説得力があることが、ほかの文化ではまったく効果がないことに興味を持つようになり、それぞれの国でビジネスがどのように行われているのかを研究し始めました。INSEADの客員教授として、大勢のビジネスパーソンにインタビューをしたことで、ビジネスのやり方においてそれぞれの国でいくつか大きな違いがあることがわかったのです。
たとえば、信頼関係をどうやって構築するか、どうやって意思決定を行うかなどは文化や社会によって大きく異なります。相手に対する批判の仕方も、文化によってかなり異なる。そこで、(コミュニケーションや決断、信頼など)8つの指標を設けて、調査対象の55カ国がそれぞれの指標においてどこに位置するかを「カルチャーマップ」という見取り図にして、それぞれの文化の違いをわかりやすくしたわけです。
――17年間研究をされているそうですが、その間グローバル化が進むことで研究内容も変わったのですか。
当初は、いくつかの指標はステレオタイプなイメージに基づいていました。たとえば、日本人は間接的にモノを伝える一方で、米国人は直接的だとか、日本人は階級を重視する一方で、オーストラリア人は平等を重視するとか。しかし、研究を続ける中で、2カ国間の文化においてでさえいくつかの矛盾が出てくるようになり、そのうち最も重要な文化的な違いは、ステレオタイプ的なものではないことがわかったのです。
たとえば、日本人の多くは日本のほうが米国より階級的だと認識しているし、米国人も日本のほうが米国より階級的だというイメージを持っています。しかし、米国で働く日本人からしばしば「米国の企業はもっとフラットな組織だと思っていたが、意思決定のプロセスは非常に階級的で、日本の組織よりよっぽどトップダウンだ」いう話を聞きます。
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