メーカーvs.巨大流通 食品値上げの裏側

メーカーvs.巨大流通 食品値上げの裏側

小麦などの原料高を背景に食品の値上げが相次いでいる。ただ、食品メーカーは「記事にしないでほしい」と軒並み取材拒否。なぜ、それほどまでに神経をとがらすのか…。(『週刊東洋経済』10月6日号より)

 食品メーカーが9月に入り、商品の値上げを相次いで公表している。

 日清食品は来年1月から即席麺の価格を7~11%値上げすると発表した。これにより「カップヌードル」は155円から170円に引き上げられる。同社は値上げの理由として「小麦、パーム油、エビや豚、スープ原料、カップ容器、すべてが高騰している」(広報部)と説明する。

 値上げを実施する食品メーカーは、挙げればきりがないほどだ。江崎グリコや明治製菓、森永製菓など菓子メーカーは内容量を10%減らすなどで、実質的な値上げに踏み切る。さらに、ニチレイや味の素の冷凍食品、ハウス食品のカレールーなども値上げの対象となっている。

 「時期が一斉すぎないか」(流通チェーン幹部)と、販売サイドからはいぶかる声も上がる。ただ、メーカーサイドには相応の理由がある。  

 小麦は世界的な凶作を受けて、10月から政府売り渡し価格が10%引き上げられた。このためパン最大手の山崎製パンは「値上げを検討中」(広報部)。さらにバイオエタノールおよびディーゼル乗用車の需要増を背景に、大豆や菜種の国際価格は2年前の倍近くまで急騰。BRICsからの引き合い増で、水産物や畜産物の国際価格も高い。菓子やアイスクリームに使用する乳製品も、中国で洋食化が進行している影響で上昇が続いている。住友商事の石本賢太郎常務執行役員は「原料が約20%アップしているイメージに対して、値上げは10%程度で転嫁しきれていないのでは」と語る。

 世界的な原料高を背景にした値上げは「正論」に見える。しかし、「浸透するかは不透明だ」と、食品メーカーは一斉に表情を曇らせる。流通業者が食品メーカーの価格転嫁に、否定的な見解を示しているのだ。

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