ANA、メキシコ新路線に「トランプリスク」の影

「史上最長」の路線には試練が待ち受ける

メキシコに初就航するANA(上)と、成田路線を10年運航してきたアエロメヒコ航空(下)。トランプリスクがちらつく中、市場はどうなるか(写真上・撮影:尾形文繁、下:記者撮影)

2月15日、全日本空輸(ANA)にとって"史上最長"路線の運航が始まる。成田―メキシコシティ線だ。飛行時間は成田発が12時間強、メキシコシティ発が約14時間30分。ボーイングの「787-8」型機で毎日1往復を運航する。中南米への直行便の乗り入れは日本の航空会社として初めてとなる。

同路線にはメキシコ最大手の航空会社、アエロメヒコ航空が2006年11月に週2便で就航。10年をかけて徐々に便数を増やしてきた。ANAの参入に合わせる形で、3月2日からは毎日1往復の運航が始まる。2010年までは日本航空(JAL)が成田からカナダのバンクーバー経由で週2便飛ばしていたが、業績不振で運休していた。

ANAが期待するのはメキシコに進出している日系企業の出張需要だ。今年1月13日には、メキシコの政府機関が同国に進出した日系企業の数は1000社に達したと発表。自動車関連メーカーを中心に急増し、過去5年で2倍以上になった。

期待していたビジネス需要に暗雲

だが、ANAの就航は結果的に"間の悪い"ものとなってしまった。

「トヨタ自動車がメキシコに工場を建設すると言っている。ありえない!米国に工場を建てないのであれば、国境税を払え」。年が明けてまもない1月5日、ドナルド・トランプ米大統領が就任前にツイッターで放ったこの一言が日本の自動車業界を大きく揺さぶった。

トランプ大統領は「米国での雇用拡大」を掲げ、大統領就任直後から、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を表明するなど、メキシコのビジネス環境は不透明さが増すばかり。工場建設などの計画を見直す企業も出てきている。

ANAによれば2月の予約率は70%ほどで上々の出だしだが、企業のメキシコへの渡航需要に「トランプリスク」の影響がないとは言えない状況だ。

さらに今回の新路線のチャレンジングな点は、渡航需要だけでなく、ANAの運航面にもありそうだ。

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