ミャンマー西部に住むイスラム教徒の少数民族ロヒンギャの窮状に拍車がかかっている。2016年10月にはミャンマー軍が行った攻撃で130人のロヒンギャが殺され、数十の建物が焼け落ちた。こうした事態で同国政府やノーベル平和賞受賞者アウンサンスーチー氏らの評判は損なわれる可能性がある。
ミャンマー軍指導者は攻撃について、同国の都市マウンドーで起きた警察官殺害事件の犯人を探し出すことが目的だったと主張。しかし国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチが衛星画像を分析したところ、同攻撃以降、さらに多くのロヒンギャの村が破壊されていたと報告されている。
世界で最も迫害された民族
居住地を追われたロヒンギャの人民は3万人にも達するとみられている。国連はロヒンギャを、世界で最も迫害された少数民族だと見なしている。
危機はバングラデシュ、タイ、インドネシアといった周辺諸国にも飛び火。今や批判の矛先はASEAN(東南アジア諸国連合)に向かっている。ASEANはロヒンギャ問題への取り組みに及び腰で、紛争が民族や宗教によって東南アジア地域を分断させる可能性があることへの認識が足りないというのだ。
東南アジアの宗教別人口構成はイスラム教徒が60%、仏教徒が18%、キリスト教徒が17%である。ロヒンギャの亡命を受け入れている国では、すでに根強い差別が広がっている。
ロヒンギャは受け入れ国に到着後、治安部隊との激しい戦いや食糧不足にさらされ、テロ組織の人員獲得源となっているのだ。
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