トランプの入国制限、「イスラム教徒」の本音

トランプ支持だった青年も困惑

トランプ大統領による難民・移民の入国制限によって米国ではさまざまな人が苦しめられた (写真:Jonathan Ernst/ロイター)

1月28日の朝、世界はまさにひっくり返った。就任1週間しか経っていない米国のドナルド・トランプ大統領が、大統領令を発令、向こう120日間の難民・移民の入国を制限したのである。これによって、シリア難民の入国が制限されただけでなく、イランやイラク、スーダン、リビアなどイスラム教徒の多い中東・アフリカ7カ国からの米国への入国が制限されてしまった。

そこからの「カオス」は全世界がテレビやネットを通じて目の当たりにしているとおりだ。イスラム教徒や難民の人権保護を訴えて全米中の空港や裁判所では大規模なデモや、今回の措置は違法行為だとする裁判が起こった。米国では連日のように、「イスラム教徒とともに」や「移動の自由」などそれぞれのスローガンを掲げるデモ隊の様子が放映された。中には、「Welcome (ようこそ)」と書いたドアマットを敷いて空港で移民を出迎える男性もいたほどだ。

二転、三転する入国制限

それから1週間後、米ワシントン州シアトルにある連邦裁判所のジェームス・ロバート判事が、一時的に入国制限の差し止めを命令。同州のボブ・ファーガソン州司法長官は、難民・移民の入国制限を決めた大統領令は「違憲かつ違法行為である」と明言した。これに伴って、米国土安全保障省は通常の入国プロセスに戻った一方で、トランプ大統領は司法省に判決を停止するよう指示。これに対して米連邦控訴審は2月9日、一時差し止めを支持する判断を示した。今後は最高裁までもつれ込む可能性がある。

トランプ大統領は、選挙中から「すべてのイスラム教徒の米国への入国を禁止すべき」などと発言し、物議を醸していた。つまり、今回の件は選挙で掲げていた公約を果たしたにすぎない。

「Muslim Ban(イスラム教徒追放令)」——。今回のトランプ大統領による入国制限は、米国ではこう呼ばれている。当のトランプ大統領自身は、「これはメディアがでっち上げるような、イスラム教徒を迫害する大統領令ではない」と否定。「(大統領令の)目的は、特定の宗教を吊るし上げることではなく、テロの脅威から国を守ることだ」としている。

今回のトランプ大統領による入国制限について、米国に住むイスラム教徒たちはどう思っているのだろうか。住む場所も、バックグラウンドもまったく違う3人に話を聞いた。

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