トランプの入国制限、「イスラム教徒」の本音 トランプ支持だった青年も困惑

拡大
縮小

女性器切断の慣習が残っている西アフリカのガンビア・イスラム共和国から、米国へ難民としてやってきたセラ・ジャイナバさんは、何年にも及ぶ移民局による面接や、生体検査を経て、このほどようやく米国の永住権を得たばかりだ。今は美容師の仕事をしながら、家族とともにシアトルに住んでいる。

一方、パキスタンから移住してきた両親を持つ、ファティマ・カーンさんは米国生まれの生粋の米国人だ。今は専業主婦として、ニュージャージー州に家族とともに暮らしている。

そして、アリ・ラジャさんは苦労の末、学生ビザを取得して米国にやってきた。勉強のかたわら、週に15時間働きながらグリーンカードを取得。米国人と結婚し、帰化した。今は、金融マンとしてニューヨークで働いている。

イスラム教徒で、愛国主義者

3人3様の人生を歩んでいるが、3人とも今回の大統領令は「イスラム教徒追放令である」との見解で一致している。「トランプはこの方法で(大統領としての)地位を築いてきた」とカーンさんは話す。「彼は過去の演説でも、イスラム教徒は敵だとハッキリと言っている」

カーンさんは自らのことを現代的な女性であり、イスラム教の教えにも忠実だと考えている。彼女はスンニ派の男性と結婚した、オーソドックスなシーア派のイスラム教徒だ。同時に彼女は典型的な米国人女性でもある。金融業に携わっていたカーンさんは、娘の誕生とともに仕事を辞め、今では彼女と公園に行ったり、図書館を訪れたりしている。長い休みができると、家族でキャンプやロードトリップを楽しむ。

昨年の大統領選には、実は行かなかった。どちらの候補者も決定打にかけると感じていたからだが、民主党、共和党どちらかと問われれば、共和党に近い考えを持っている。ただし、それより重要なのは、彼女は根っからの愛国主義者であり、米国憲法を心から尊重しているということだ。だからこそ、今回のトランプ大統領の行為は、「反米国人的」と強く感じている。

次ページジャイナバさんを襲ったショッキングな「事件」
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT