「リーダー」にのし上がる人は何が違うのか 日本マイクロソフト会長樋口氏の仕事術

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──HPとコンパックの日本法人統合の事例に、リーダーシップの必要性がよく出ているようですね。

どんな企業でも組織間対立や覇権争いがあるものだ。だが、それが顧客のためになるのかといえば、全然ならない。ましてや合併した会社同士は5倍とか10倍の勢いで対立する。リーダーシップが強くないと。ボトムアップで仲良くするなど不可能に近い。

終わりのない長距離を走っているようなもの

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──クリーンルーム、アダプト・アンド・ゴーがキーワードですか。

両社の合併作業のマネジメントで感心したのは、まずアプローチの仕方。合併準備室といえるクリーンルームを軸に、「適応したり順応したりして前進する」という意味のアダプト・アンド・ゴーを原則にしていた。役職をクリーンルームの要員の中で選ばせる。もちろん最後はトップが決めないといけないが。

──ダイエーでは泥臭く……。

政府出資を仰いだ。単なる機関投資家ではなく、国民の血税を使う。リターンをきっちり出せ、株主価値を最大化するのにこの策が最適だ、と示されれば、それに従う。それだけ、株主の存在のウエートは高くならざるをえなかった。

──「美しい戦略」もキーワードですか。

針の穴に糸を通すようなイメージだ。米アップルにおいて、作り上げたエコシステム、ブランド、カルチャーなどが一緒になって傑出したイノベーションが立ち上がることを痛感した。

──マイクロソフトでは。

情報基盤系の製品は割とうまく米グーグルと戦ってきた。働き方改革=マイクロソフトというイメージを作りながら、スタンダードになっている。オフィス365の製品は得意分野だったのでうまくはまった。

マイクロソフトには、クラウドだけは絶対に譲らないという強い覚悟がある。終わりのない長距離を走っているようなもので、一度引き離されたら、追いつき追い越すのは不可能になってくるからだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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