日本の「1人あたり」輸出額は44位に過ぎない 本当に「ものづくり大国」といえるのか
日本は「成熟国家」などではない。まだまだ「伸びしろ」にあふれている。
著書『新・観光立国論』で観光行政に、『国宝消滅』で文化財行政に多大な影響を与えてきた「イギリス人アナリスト」にして、創立300年余りの国宝・重要文化財の補修を手掛ける小西美術工藝社社長であるデービッド・アトキンソン氏。
彼が「アナリスト人生30年間の集大成」として、日本経済をむしばむ「日本病」の正体を分析し、「処方箋」を明らかにした新刊『新・所得倍増論』は、発売1カ月で4万部のベストセラーとなっている。その中から、「日本の1人あたり輸出額=世界第44位」という驚きの現実を解説してもらった。
日本は潜在能力を生かせていない
これまで、「1人あたり」で見た日本の生産性の低さについて、4回にわたってご説明してきました。日本経済はGDP総額では世界第3位かもしれませんが、IMFが最近発表した2016年の購買力調整後の1人あたりGDPで見ると、2015年の世界第27位から第30位へと、さらに順位が下がりました。
私は、日本という国が本当にすばらしい「潜在能力」を持っていると確信しています。その潜在能力を生かしさえすれば、日本は「1人あたり」という指標でも世界の上位にランクインするのは間違いありません。人口が減っても、今の500兆円のGDPを770兆円まで成長させることができます。生産性向上こそがデフレ脱却の最善策です。だからこそ、そうなっていない現状が悔しくてたまらないのです。
残念ながら私の議論を「日本への批判」と受け止められた方もいたようですが、私の意図はそんなことにはありません。
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