トランプの最強交渉テクニックに気を付けろ

日本政府・企業はどう向き合うべきなのか

日本政府や企業は「最強のネゴシエーター」とどのように対峙していくべきか(写真 :Byrdyak / PIXTA)

これは夢か現(うつつ)か幻か。1月20日、あのドナルド・トランプが、ついに米大統領に就任した。すべてにおいて規格外で破天荒な大統領に、これから世界中が振り回されることになるのは間違いないだろう。

ところで筆者がトランプのコミュ力の呪術的パワー(「こんな毒舌キャラが全米を熱狂させるワケ」を参照)の秘密を探り続けていく過程で気づいたことがある。この人を従来の物差しで測ることはできないということだ。これまでの大統領や政治家と比べるから、違和感や困惑を覚えずにはいられないが、不動産業界の天才的ディーラーとすれば、彼の言動の多くの説明がつく。

自分が勝つか、相手が勝つかの、いわば「ゼロサムディール」の勝者となることに血道を上げてきた生き方から見えるトランプ流交渉術とはどのようなものだろうか。日本という国、そして日本企業はこの「最強のネゴシエーター」とどのように対峙していくべきなのか、考えていきたい。

私にとって取引が芸術だ

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「私はカネのために取引をするわけではない。カネならもう十分持っている。一生かかっても使いきれないほどだ。私は取引そのものに魅力を感じる。キャンパスの上に美しい絵を描いたり、すばらしい詩を作ったりする人がいるが、私にとって取引が芸術だ。私は取引するのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。私はこれにスリルと喜びを感じる」

トランプは自著『トランプ自伝』の冒頭でこう語っている。The Art of the Deal(取引という芸術)という題名どおり、まさに彼にとっての生き甲斐、オーガズムの源が「ディール(取引)」なのだ。ニューヨーク在住時代、筆者の周りにもこうしたウォールストリートのバンカーやロイヤーたちが大勢いたので、その雰囲気はよくわかる。ディールという生き血を吸い、「切った張った」の死闘の中で、放出されるアドレナリンの中毒になってしまった人たちだ。「手ごわい連中を向こうに回し、彼らを打ち負かすことに、私はたまらない魅力を感じる」と言い切るトランプもまさにその1人だろう。天才的なネゴシエーションテクニックを武器に次から次に不動産の売買・開発を成功させ、ここまで上り詰めてきた。

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