北朝鮮への経済制裁が効かない本当の理由

制裁が目的化し、金正恩のダメージは少ない

国連による形骸化した経済制裁では、金正恩氏に効きそうにない(写真:Polaris/amanaimages)

国際連合(国連)が北朝鮮に経済制裁を行う理由は、北朝鮮の誤った行動をやめるよう圧力をかけるためだ。経済制裁は単なる目標ではない。だが現状を見ると、経済制裁を”目標”としか見ていないという愚を犯しているようである。制裁の効果がそれほどなく、かつ北朝鮮にとって逃げ道があるため、より強力な制裁をすべきという主張は理解できる。

実際に国連による対北朝鮮制裁は、これまで5回実施されている。2006年10月9日に北朝鮮が初めて核実験を行ったことに対し、国連の安全保障理事会(安保理)は同年10月14日に対北制裁決議案1718号を可決。1718号は、北朝鮮の核実験を国連憲章第7章が規定した「平和に対する脅威、平和の破壊および侵略行為」に該当する、最初の対北制裁措置だった。その後、北朝鮮が核実験を行うたびに、国連は1874号、2094号、2270号、2321号と経済制裁を加えた。特に2270号はこれまでの対北制裁の中でも最も強力な制裁だと評価されている。

経済制裁に見る3つの「限界」

一方、北朝鮮が核実験を行うたびに国連による経済制裁は繰り返されているものの、北朝鮮の行動と国連制裁がかみ合うことはなかった。国連の経済制裁は北朝鮮が核実験をしないようにするためのものだが、北朝鮮はあたかもそんな制裁はないかのように核実験を継続してきた。

2016年には1月と9月の2回、核実験を実施。結果だけを見ると、北朝鮮には経済制裁がまったく効果がないということだ。それは、国連の経済制裁が北朝鮮にダメージを与えるほど強いものではないということなのか、あるいは経済制裁だけでは北朝鮮の核開発を阻止できない何かがあるのか。根本的な理由はわからない。

国連が実施中の対北経済制裁には3つの「限界」がある。まず第一に国連レベルの対北制裁は選択的な制裁であるということだ。北朝鮮が大量殺傷兵器を開発できないよう、貿易と金融取引を制限している。これは民生と関連した貿易と金融取引は許されていることを意味する。

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