トランプ次期大統領は日本株の「敵」ではない 「米国第一主義」は日本にとっても「追い風」
12日の日経平均株価は、前日比229円安の1万9134円で取引を終えた。もちろん下落の理由はトランプ次期大統領の記者会見だ。会見は日本時間12日午前1時から実施されたが、一部メディアからの質問を頑なに拒否するなど、米大統領選挙戦を彷彿とさせる言動が見られた。
「肩透かし」を食らった市場
トランプ氏の会見は、前日に地元シカゴで行われたオバマ大統領による「お別れ演説」とは対照的な雰囲気だった。市場からは「レーム・ダック」と揶揄されながらも、いまだ50%台と高い支持率を維持する現職大統領と、傲岸不遜で不支持率のほうが高いが、ここまでは市場から支持されている次期大統領。ツイッターによるトランプ氏の口撃に戦々恐々といった状況で、「米国第一主義」を脅威に感じる投資家は多い。だが、「米国第一主義」は決して日本株にマイナスではないと筆者は考える。むしろ日本株の強烈な追い風となると見ている。
まずは、改めて記者会見でのトランプ氏のコメントを抜粋したい。
「外国政府からのホテル売上金は、財務省へ寄付」
「会社の役職はすべて退任する」
「米国外へ移転する企業には大規模な国境税を課す」
「私は最も多くの雇用を生み出す大統領となる」
「メキシコとの壁に関する交渉は、就任後開始」
「メキシコからは何らかの形で壁建設費用を徴収」
「連邦最高裁の判事指名は、就任後2週間内に指名へ」
「サイバー攻撃はロシアが関与」
「ロシアとは何の取引もない」
「就任後90日内にサイバー攻撃対策を発表へ」
「ロシアに弱みを握られていることはない」
「『オバマケア』は失敗、厚生長官にプライス氏が承認され次第代替案を提示へ」「米国は医薬品で入札方式を開始」
ざっと羅列すると、このような感じである。
大きく分けると「事業と大統領職務の関係」「保護主義」「ロシア関係」「オバマ政策の否定」といったところか。これまでの流れを上回るような過激な「保護主義」に関するコメントはなかったが、経済・金融政策に対する具体的なコメントがほぼなかったことから、期待感を高めていた市場は肩透かしを食らった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら