日本人はなぜ「加齢」への恐怖心が強いのか

未来の自分からすれば今の自分は十分若い

失っていくものにフォーカスして寂しい気持ちに支配されちゃうともったいない
いつから人に対して「劣化」という言葉を使うようになってしまったのだろうか。今も日本では、年を重ねて自然に表れる容貌の変化さえ、悪意をもって評価されてしまう。女性たちに美人に見えるテクニックを説いた『赤い口紅があればいい』が話題のシンガー・野宮真貴氏と、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』で女の屈託を鋭くえぐったジェーン・スー氏が、「女」と「年齢」をテーマに語り合う対談後編。

<前編はこちら>

男性は女性のわかりやすい記号に反応する

スー:モテに関していえば、若い頃は顔の見えない群魚を引きつけることが大前提だから、不特定多数が一番好む最大公約数を狙った振る舞いやファッションをしがちですよね。

野宮:それは絶対あると思います。若い頃は、ある年齢までに子どもを産むといったような本能的なものがあるから。私の場合は、20歳から音楽業界にいると、周りに保守的な人がいないので、若さ至上主義みたいな価値観にさらされてこなかったの。スーさんは会社でどうだったの?

スー:私も音楽業界だったので、奇抜なファッションの女性や、年齢にとらわれない女性が比較的多い環境だったんですけど、だからといって年齢でぶった切られないかというとそんなことは全然なくて。たとえば、若い子は自分が若いってことをよりあけすけに武器にしていい、というような、業界特有の間違ったハスッパ感があるように私は感じていたので、そういうものにさらされたりはしてました。でも、モテに対して、形からちゃんと入ろうとしたこともあります。

野宮:大失恋をして20kgやせちゃったとき?

スー:もっと若い頃、23歳くらいのときです。藤原紀香さんがウルフカットでJ-PHONEの広告をやっていて、そのヘアメークをまねしようと思ったんです。いつもの美容師さんに「これやってください」って写真を見せたら「嫌だ」って言われて(笑)。「客の注文を断る美容師なんてありえねえ」ってケンカになって、なんとかやってもらったんですけど、紀香ヘアのカールってパーマじゃないから時間が経つととれちゃうんですよ。だから、勤務先にホットカーラーを持っていって、夕方になるとトイレの個室でウォシュレットの電源抜いて、巻いてました。

野宮:すごい!

スー:藤原紀香をまねしたファッションで会社のなかを歩いていたら、バーッと私を追い抜いていく男性が振り向いて、私の顔を見て「なんだおまえかよ」と舌打ちしたり(笑)。「ああ、こういう記号を身につければ他人の目にはつくんだな」と、勉強になりました。

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