栗原類が語る「発達障害の僕が直面した現実」

「空気が読めない」のは本人もつらい

舞台も含めてたくさんのお仕事に多大な時間を費やして取り組んでも、お芝居はなかなかうまくならないし、どう演じていいのかがわからないまま時間が過ぎ、どうすれば上達するのか試行錯誤しながらたどり着いたのは「読解力」というキーワードでした。

少しでもたくさんの本を読んで、その情景を思い浮かべたり、そのキャラクターの心情を思い浮かべる。それらを繰り返すことは役者として避けて通れないトレーニングだと思いました。

この「読解力」というのは本だけでなく、映画やTVドラマにもあてはまります。観ている映画の中で俳優の表情の微細な変化、それが何を伝えようとしているのかを読み取る読解力。俳優が発する台詞一つひとつ、声のトーンの微細な変化は何を表現しようとしているのか、不安なのか怒りなのか、そういった細部に至る表現を読み取る力も読解力です。おそらく、小さい頃から母にそういう部分は指摘されてきたとは思うのですが、それが実際に僕の頭で理解できるようになったのはここ最近な気がします。

芝居の勉強が、自分を助けてくれる

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小さい頃にこれに気付いていれば、もっと生きやすかったかもしれないと思います。人と接する中で、日々直面する他者とのコミュニケーション。相手の眼球が動いているのはなぜか、急に微妙に早口になったり、声が少しだけ大きくなったり、うわずったりする。他人が示している些細な不快感や居心地の悪さをその場でくみ取れれば、それ以上の溝ができないで済むのに、それがわからないからそのまま放置してしまったり、無神経なことを言ってしまったという場面は、僕が気付いていなかっただけでたくさんあったと容易に推測できます。

そしてそれらの表情の変化を知る、理解するには、お芝居の勉強はとても有効だと感じるのです。こうした読解力の訓練も、お芝居の仕事だけでなく、日々直面する他者とのコミュニケーションの訓練に役立ち、僕が社会で生きていくための力のベースになってくれていると思います。少しずつですが、長い目であきらめず続けていこうと思います。

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