次期米国財務長官は「ドル高」を容認している

日米金利差を背景にドル高円安の基調が続く

トランプ氏が米国財務長官に指名したスティーブン・ムニューチン氏。ルービン元財務長官やポールソン元財務長官と同様にゴールドマン・サックス出身だ(写真:ZUMAPress/amanaimages)

「現在の円安は、確か2月ごろの水準であり、別に驚く水準とは思っていません」

黒田東彦日本銀行総裁は12月19〜20日に行われた金融政策決定会合後の記者会見で、このように述べた。

ナルホド、確かに2016年2月ごろといえば117円台があった。もっと言えば、2016年1月末に日銀がマイナス金利政策の導入を発表した際には、サプライズによって円安が急速に進行し、ドル円は121円台後半の高値を付けた。「水準」という意味では117~118円台の円安は特に驚くレベルでないのはおっしゃる通りである。

日銀黒田総裁「円安というよりドル高」

ただ、懸念があるとすれば「水準」よりも「スピード」だろう。たった1カ月間で約16円の円安はかなりのハイペースといえる。似たようなケースとして挙げられるのは、2014年10月末、日銀が追加緩和を決定した際のドル円相場だ。「バズーカ2」「ハロウィン緩和」などと呼ばれたように、タイミングや規模がサプライズだったため円安が急速に進行。ドル円は109円台から119円台まで、1カ月で約10円上昇した。

この連載の過去記事はこちら

ペースとしては今と似ているが、決定的に違うのは日米の長期金利差である。当時の日米10年債利回り格差をみると、まったく拡大していないどころか、むしろやや縮んでいる。黒田総裁が演出した「サプライズ」によって、為替だけが一方的に円安に振れたのであって、市場で期待されていた「日米金融政策の方向性の違いによる金利差の拡大」は起きなかった。米国で利上げする環境がなかなか整わず、米国債の利回りは低下傾向となったのである。

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