伊藤忠はこのまま三菱商事と伍していけるか 「野武士」が乱す総合商社の秩序
「長年変わらないままであった財閥系商社優位の地図を塗り替え、新たに伊藤忠、三菱の商社2強時代が始まっています」――。大手商社5社の中間決算が出揃った今年11月4日、伊藤忠商事の社内イントラネットには、各社の業績状況とともに、岡藤正広社長のこんなメッセージが記された。
「新・2強時代」が到来
総合商社で2強といえば、これまでは三菱商事と三井物産の財閥2社が絶対の組み合わせだった。両社は「組織の三菱」「人の三井」と称され、収益力でも常に1位、2位を分け合ってきた。そこに割り込んできたのが伊藤忠である。週刊東洋経済は12月17日号(発売中)で『三菱商事vs.伊藤忠』を特集。総合商社の「新・2強時代」を追っている。
2014年後半から始まった資源価格の急落で、三菱商事と三井物産は巨額の減損を計上し、15年度は両社とも戦後の歴史で初の連結最終赤字に転落した。一方、「非資源ナンバーワン商社」を掲げ、資源事業の損失を前倒しで処理していた伊藤忠は、純利益で初の総合商社トップに躍り出た。
総合商社をめぐる異変は、業績のみならず採用市場でも起き始めているようだ。伊藤忠の採用担当者は、「今年(2017年卒)は三菱商事から内定を取ったがウチに来るという学生が1人、2人ではなく結構いた。採用でも2強になった」と話す。
また、2016年卒の就職者の動向にも注目すべき変化がある。大学通信の調査によると、東京大学からの就職者数で伊藤忠(20人)が、三井物産(13人)を上回った。これは過去10年間で初めてのことだ。
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