トランプ相場がこれから崩れる「4つの理由」 金融業界は「カミカゼ」を欲していただけだ

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3つめは、現実が動くことだ。

来年になれば、嫌でもトランプ政権は動き出す。これだけ期待が高まっていれば、期待を超えることは難しく、失望がいくつか、あるいは多数出てくるだろう。

次期政権の要職に金融関係者を据えたことも、これを決定付ける要因だ。

つまり、トランプが妥協して、あるいは人々が期待しているように豹変して、保守的に振る舞うのではなく、大統領として人気を博したいということではあるが、自分の思い通りにもやりたい、という気持ちを強く残していることの表れだからだ。

4つめは、理論の裏づけがあることだ。

トランプ現象で起きていることは、金利上昇、それによるドル高だ。これが相場に、株式、不動産にプラスである理由があるのか。まったくない。180度逆だ。

これまでの相場上昇は、金融相場、ゼロ金利による上昇だ。それが反転し、金利が上がり、インフレになるのであれば、相場に、リスク資産にマイナスであることは間違いがない。つまり、バブルが終われば、ファンダメンタルズから見ても、大きく下落する理由があるのだ。

機は熟したが、問題はタイミング

これと逆のファクトは、米国経済、中国経済が思ったよりもしっかりしている、ということだ。ただ、これは金融相場の崩壊を食い止める裏づけではない。もともと、ファンダメンタルズではなく、金利でバブルが起きているのだから、反転すればそれは終わる。

さて、最後の問題は、タイミングだ。

機は熟したが、それに抵抗して、バブルを延命させたい、という力も働く。それによって、崩れるタイミングは遅れるかもしれない。

しかし、そのときがいつ起きてもおかしくないこと、その可能性が高まってきたこと。それだけは事実だ。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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