北陸新幹線延伸の「費用対効果」はどうなるか 敦賀以西の延伸ルートは「小浜・京都」に

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福井駅の北陸新幹線高架。どのルートでどこへつながるのか=2013年12月

北陸新幹線・敦賀以西のルートをめぐり、「米原」「小浜・京都」「舞鶴」の3案がしのぎを削ってきた選定作業は、政府・与党が12月7日、「小浜・京都」ルートを採用する方針を固め、20日に正式決定する見通しとなった。

沿線各地は建設費や時間短縮効果、乗り換えの有無などをポイントに優位性を強調してきたが、大きな重みを持つのが「費用便益比」(B/C)だ。新聞記事などでは「費用対効果」と表記されることが多い。国土交通省の試算結果に加えて、各自治体が独自の試算値を持ち出し、議論がヒートアップした。

ところで、整備新幹線を建設し、保有する「鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)」が、整備新幹線の効果について、費用対効果などに関する「事後評価」作業を実施していることは、あまり知られていない。今年はちょうど、2010年12月に開業した東北新幹線・八戸-新青森間と、翌2011年3月に開業した九州新幹線・博多-新八代間の「事後評価」結果が公表された。

今回は、その結果を紹介しながら、開業初年度が過ぎようとしている北海道新幹線、さらには開業論が持ち上がっている基本計画路線の行方を考えてみたい。

整備新幹線の効果を示す「B/C」

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整備新幹線のB/Cは、建設事業がもたらすと見込まれる、一連の利便性の向上をすべて「お金の価値」に置き換え、建設費や追加投資などの事業に伴う費用で割った数値だ。「1.0」を上回るほど効果が高く、逆に「1.0」を割り込むとコストに見合った効果が得られないことを意味する。

国土交通省の公表資料や各メディアの報道によると、北陸新幹線・敦賀以西の3案のうち、米原で東海道新幹線と接続する「米原ルート」は、線路が短くて済む分だけ建設費が少なく工期も短くなり、B/Cは2.2と最も高い。

滋賀県は独自に、さらに費用対効果が高いという試算を示している。ただし、北陸新幹線自体は「米原止まり」となり、富山・石川方面と関西との往来には、乗り換えを余儀なくされる可能性がある。

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