真珠湾慰霊訪問にみる安倍外交のしたたかさ

「戦後にケジメ」で政権のレガシー狙う

タイミングが絶妙?(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

安倍晋三首相が年末に真珠湾(パールハーバー)を慰霊訪問する。首相自らが12月5日夜、記者団に明らかにした。首相は12月26、27の両日(現地時間)米ハワイを訪問し、オバマ米大統領とともに真珠湾を訪れ、日本軍による真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊する予定で、米政府も歓迎している。

今年5月の同大統領の被爆地・広島訪問と「ワンセット」(自民幹部)とも位置付けられ、首相は周辺に「ちょうどよい機会。『戦後』にきちんとケジメをつける」と語った。ハワイ訪問の直前に首相はプーチン・ロシア大統領との首脳会談で「戦後未解決」の北方領土問題の決着に挑む。まさに、外交での「戦後政治の総決算」でもある。成果が上がれば「安倍政権最大のレガシー」となることは間違いなく、タイミングも含め史上最長政権を狙う首相の外交戦略のしたたかさも浮き彫りになる。

首相は5日夕、国会内で開かれた自民党役員会で発言を求め「戦後政治の総決算に挑むつもりだ」と語った。「なんで今頃」(幹部)と役員会の面々はいぶかし気に顔を見合わせたが首相はそれ以上深入りせず、約2時間後のぶら下がりインタビューで真珠湾慰霊訪問を明かした。年明けに8年間の任期を終えるオバマ大統領との日米首脳会談の締めくくりでもあり、首相は「(安倍・オバマの)4年間を総括し、未来に向けてさらなる同盟強化の意義を世界に発信する機会にしたい」と胸を張った。

5日発表で"中曽根超え"をアピール

5日は首相の通算在職日数が、中曽根康弘元首相の1806日を抜いて戦後歴代第4位になった記念すべき日でもあった。「中曽根内閣のスローガンだった『戦後政治の総決算』を自らが受け継いで完成させるというメッセージ」(自民長老)ともみえるが、総裁任期延長を受けての2018年9月の総裁3選で史上最長政権も可能な首相にとって、「まずは"中曽根超え"をアピールした」(自民幹部)とみる向きも多い。

歴史を振り返ると、太平洋戦争は日本軍の真珠湾攻撃から始まった。75年前の1941年12月7日朝(現地時間)、旧日本海軍の機動部隊がハワイ・オアフ島のパールハーバー(真珠湾)の米太平洋艦隊に奇襲攻撃を行って戦艦アリゾナなどを撃沈・撃破し米側に約2400人の犠牲が出た。日本の宣戦布告が約1時間遅れたことから、米国内では「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」との声があふれ、後年、戦地には「アリゾナ記念館」が建設されて「日米開戦のシンボル」ともなってきた。

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