学資保険がダメならどう貯金すればいいのか 「子供の教育費だけを貯金する」のは間違い

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次に、払い済みにした生命保険(その分、毎月の保険料は納めなくてよくなった)ですが、代わりに、ネット生保で加入することにしました。 子育て世代にとって、生命保険は重要です。これまでは、雅人さんしか保険に加入していなかったのですが、2人で家計を支えているので、妻の梨花さん(38歳)も加入することにしました。

保障内容と保険料は以下の通りです。

雅人さんは、定期保険金額1000万円、収入保障保険月額保険金額15万円で保険期間は60歳まで。保険料は両方で月額7030円。

梨花さんは、定期保険金額1000万円、収入保障保険月額保険金額10万円で保険期間は60歳まで。保険料は両方で月額3360円です。

2人合わせると、保険料は年間12万4680円です。以前入っていた終身保険の保険料は月額2万0030円でしたから、保険料はこれまでの約半分になり、学資保険の保険料と合わせると、年間41万9880円を貯蓄に回せることになりました。冒頭で示した124万円貯めるのに「さらに必要な貯蓄額68万円」まで、もう一息です。

児童手当を全額貯蓄に回す

大垣家のもう一つの手は、「児童手当」の使い道の見直しです。実は、大垣家では、年3回に分けて支給される児童手当は、臨時収入的な扱いでレジャー資金に回っていました。これを改めます。「児童手当」は、使わずに、直ちに貯蓄の口座に移動します。

所得によって受給額に差がありますが、0歳から中学校を卒業するまで受給することができる児童手当は、所得が約960万円未満のご家庭なら、総額198万円(※)を受け取ることができます。子どもが2人だと198×2=396万円。3人目の子どもは、総額252万円ですので、3人合わせると648万円となり、一人分の大学の学費が賄える金額になります。

※ 198万円の内訳)0歳〜3歳未満は、月額1万5000円。よって1万5000円×36カ月=54万円(約960万円以上の所得制限世帯は月額5000円です)3歳から小学校終了前までは、第1子、第2子は月額1万円
よって1万円×108カ月=108万円(第3子以降は月額1万5000円) 
中学生(15歳になり、最初の年度末の3月まで)は月額1万円 
万円×36カ月=36万円

山崎元氏と筆者の共著『「お金」の考え方』(上の書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

大垣家では、2人の子どもの児童手当で年間24万円貯蓄できます。これで、年間貯蓄額は、保険削減分と合わせると、41万9880円+24万円=65万9880円となり、目標貯蓄額124万円を達成するために必要な追加分68万円まで、あと約2万円です。これは月額にすると約1700円ほどです。通信費の見直しでもすれば楽勝でしょう。

今後、10年間、計算通りのペースで貯蓄を続けると、大垣家の貯蓄は、慶太くんが大学入学時には1690万円になります。しかし、例えば2人ともが私立大学に進学し、学費が2人で約1600万円かかるとすれば、貯蓄残高は90万円になります。

雅人さんが50歳時点で、「人生設計の基本公式」で再計算すると、「必要貯蓄率」は約20%になります。年金貯蓄額は180万円ですが、実際には、手取り収入も増えているでしょうし、子どもも独立していくことを考えれば、貯蓄をしていくのは、むしろ楽になるかもしれません。

再掲しますが、「人生設計の基本公式」についての解説はこちらを参考にしてください。

大垣家は、もともと貯蓄の習慣のある「貯められる家計」でしたが、「貯められない家計」の改善策は難問です。次回は、「貯められない家計の教育費のつくり方」についてお伝えしたいと思います。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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