「テキサス新幹線」実現には3つのハードル リニアと並ぶJR東海の肝入りプロジェクト
オバマ大統領がリーマン・ショック後の景気浮揚策の一環として、また排出ガス削減という国家目標にも合致することから推進した、米国全土での「高速鉄道構想」。だが、期待されたフロリダ州のプロジェクトが事実上中止に追い込まれるなど、大きな進捗は見られていない。
また、日本式の新幹線に関して言えば、各プロジェクトの初期段階において「専用線方式」や、米国基準で求められる衝突を考慮した重く頑丈な車両と異なる「柔構造の車両」が評価されず対象から除外されていた。
そんな中で、例外的存在となっているのがテキサス新幹線構想だ。まず、全米の高速鉄道構想の中で、唯一と言ってもいい「純粋に民間資金でのプロジェクト」として、着々と調査や準備が進んでいるということがある。そして何よりも、JR東海が技術協力する形で「N700系」をベースとした日本型の新幹線を前提に計画が進んでいるからだ。
JR東海の技術協力で進む民間高速鉄道計画
プロジェクトの全体スキームとしては、現地資本主導による民間の事業開発主体としてテキサス・セントラル・パートナーズ(TCP)が発足、2015年6月には開発資金の一部として7500万ドルを調達している。さらに、このTCPには、日本の官民ファンドである海外交通・都市開発事業支援機構(通称 JOIN)から4000万ドルの出資が決定された。
また、日本側から技術協力を行うためのコンサルティング会社として、JR東海が100%出資する現地子会社としてハイスピード・レイルウェイ・コンサルティング・コーポレーション(HTeC)が、この2016年の5月にテキサス州ダラス市に設立され、10月にはTCPとの業務提携契約に調印、11月から活動を開始している。
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