お年寄りほど「SNSの本質部分」を知っている 使っていないから知らないわけではない

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この貼り紙、私の自宅近所のアチコチに貼られていたんです。「かわいがってたんだなあ、戻ってきてくれたらいいなあ、でも鳥が飛んで行っちゃったのはさすがに厳しいよなあ……」と思っていたら、後日、

「この貼り紙のお陰で戻ってきました」ですって。しかもまったく知らない通りすがりの誰かが「よかったね」というコメントまで……たぶん貼り紙を剥がすとき、飼い主も気が付いてますよね。人と人とを結び付けたうえにインコまで戻ってきて、しかも誰かの「よかったね」まで伝えている・・・。これは、もう完全にSNSです。

もちろん張り紙は、街中に勝手に貼って良いものではないので、それはまた別の問題なのですが、少なくとも「ワシャSNSなんてやっていないよ」という方々もこれはご存知のはずです。黒板の伝言板もよく知っているでしょう。つまりSNSを知っていて、上手に説明もできるんです。

SNSは決して新しい道具ではない

SNSは、新しい道具でも何でもありません。昔から使われていた黒板や貼り紙が、機械仕掛けになって、インターネットに乗っかっただけ。ソーシャル・ネットワーキング・サービスなんて偉そうな名前で呼ばれているだけ。現在のSNSも、黒板や貼り紙と本質はなんら変わりません。

ですが、現在のSNSには、黒板や貼り紙にはなかった特徴、しかも強烈な特徴が2つだけあります。それは、

情報が広がる範囲

情報が広がる早さ

この2つです。ちなみに広がる範囲は「全世界」、広がる早さは「一瞬」です。黒板や貼り紙のSNSにはない、このたった2つの特徴が、SNSに関するさまざまな物語を作り出したり、ネット炎上を引き起こしたりしているんです。

逆に言えば、この2つの特徴をしっかり押さえれば、現在のSNSの本質も簡単に理解できる、といえるでしょう。

SNSは決して新しい道具ではない――。今回は、ぜひこのことを知って頂ければ、と思います。

小木曽 健 国際大学GLOCOM客員研究員

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おぎそ けん / Ken Ogiso

1973年生まれ、埼玉県出身。複数のITベンチャーを経て現職。書籍や講演、メディア出演などを通じて「ネットで絶対に失敗しない方法」やネットリテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。これまでに企業、学校、官公庁などで2000回以上、のべ40万人に講演。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)、『ネットで勝つ情報リテラシー』『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(筑摩書房)、監修に『13歳からの「ネットのルール」』(メイツ出版)他多数。

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