米国人女性の5人に1人がレイプに泣いている

温和な好青年がレイピストに化けるワケ

「レイピスト」は恐ろしい凶悪犯や異常犯のように考えられがちだが…(写真:agnormark / PIXTA)

19.3%、実に5人に1人。

これだけの割合のアメリカ人女性が、年齢を問わず、これまでにレイプ被害を受けたことがあると、米国連邦機関・疾病予防管理センターによる2014年9月の報告書で明らかになった。これほどにも「ありふれた犯罪」である一方、被害者の64%〜96%は警察に被害を届け出ず、アメリカ国内でもっとも報告率の低い重大犯罪でもある。また、訴追されるのはわずか0.4〜5.4%、うち有罪判決がくだされるのは0.2〜2.8%。レイプ事件が起きた時、90%以上の確率で加害者が刑罰を免れていることになる。

本書『ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度』は、米国モンタナ州第2の都市ミズーラで、マンモス校モンタナ大学のアメフト選手たちが2010年2012年にかけて引き起こした複数のレイプ事件について、丹念なインタビューと取材を重ね、その真相に迫ったノンフィクション作品だ。ミズーラという一つの都市に注目しながらも、なぜアメリカ全土でこれだけレイプ事件が多発し、訴追・報告率が低いのか、その要因を大きく3つの観点から浮かび上がらせる。

誤った固定観念

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一つ目は、社会に蔓延している「誤った固定観念」だ。

例えば、レイプ被害に遭った時、女性は全力で抵抗をしたり助けを求めるはずだと思われがちだが、実際には、恐怖心と無力感でいっぱいになり、抵抗をしない場合がほとんどだ。

恐怖心だけではない。

シアトルの熟練法律家で、11年にわたりキング郡検察局で暴行特別捜査班を指揮していたレベッカ・ローは語る。

「わたしたちは社会生活に適応するなかで、人に好ましく思われること、摩擦を生まないことを教えられます。……騒ぎを起こさず静かに問題を解決する――何かよくないことが起きても、そんなことはなかったように消し去ってしまうんです」

 

また、レイプ被害者は、そのトラウマから一見不可解に思える行動を取ることも多い。だがそうしたトラウマ反応についても社会であまり認識されていない。

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