加工食品の「原産地表示」義務は大混乱を招く ハムなら「豚肉(アメリカ又は国産)」でもOK?
全ての加工食品に原料の「原産地表示」を義務付ける方針が11月29日、消費者庁と農林水産省が共催する検討会で固まった。これまで生鮮食品に近い一部の加工食品だけ(22食品群+4食品)に義務付けられてきた、原産地の表示が2017年夏から拡大していくことになりそうだ。
たとえばハムは現在、原料の原産地表示は不要である。お歳暮商品などのブランド品に「国産」と強調表示をしているものもあるが、スーパーなどで売られている通常のハムには、豚肉の産地は書かれていない。これが新ルールでは、原材料名に「豚肉(○○)」という表示が必要となる。「豚肉(アメリカ)」と表示されれば、「アメリカ産の豚肉を使っているのね」とわかる。ある国のものは選ばない、という人もいるだろう。原産地を知りたい消費者にとっては朗報である。
しかし、検討会の取りまとめを見る限り、いずれ大きな混乱を招きそうだ。というのは、国別表示を原則としながらも、「豚肉(国産又は輸入)」といった”例外”表示も認めることとしたからである。これでは、豚肉の原産地が世界中のどこかの国という意味になり、消費者が選ぶための表示とは言えない。
あくまで原則であり、"例外"だらけ
例外表示は、①可能性表示、②大括り表示、③可能性表示+大括り表示、④製造地表示と、何と4つもある。ちなみに「国産又は輸入」の表示は、③にあたる。何とも複雑な表示制度になってしまった。
事業者は調達実態に応じ、重量の一番多い使用原料について、原則表示(国別表示)か、例外表示4つのいずれかを、今後表示することになる。例外表示は次のとおりだ。
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