集中力の続かない人は「仕組み化」ができない 大事なチャンスをみすみす逃していませんか

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毎日、どんな気分だろうとどんな環境にあろうと、修道女たちは鐘が鳴ると礼拝に集まります。彼女たちは「鐘がなるから」集まるのです。もっとも実際的な意味において「鐘が鳴ると祈ることになっているから」という以外に修道女たちが祈る理由はありません。この「鐘」こそが、仕組みの完璧な例なのです。

仕組みとは、あなたが自分の1日を形づくる方法であり、あなたが時間を費やす方法、あなたが引く境界線、あなたが従うルール、あなたが雇うアシスタント、あなたが使うシステム、あなたが行動する時間割、あなたがとる休憩、あなたが設ける優先順位、あなたが立てるプラン、あなたが設定する自由度です。

世界的なインターネットサービス会社、AOLがかつて苦境に陥ったとき、CEOのティム・アームストロングは「仕事時間の10パーセントを“考える時間”に」という社内方針を掲げました。すべての幹部社員に対して、少なくとも週に4時間は「考える」作業に取り組むよう義務づけたのです。その結果、この活動はAOLに大逆転をもたらしました。

仕組みが一人ひとりの進むべき道を明確にし、パフォーマンスを引き上げたからです。

「仕組み」さえあれば目標を実現するのは簡単

私たちは単純な仕組みを使えないというだけで、たちまち期待した成果をあげられなくなります。

たとえば、あなたの目標が「もっと運動すること」だとしましょう。ほとんどの人が設定しつつ、いつまでも達成できない目標です(道でジョギングしている人1人につき、「走りたい」と思ったり、以前に「走ろう」と決心したりしただけの人が12人いるというデータがあるほどです)。

この目標を確実に達成するいちばんの方法は、予定に組みこんでしまうことです。たとえば「月・水・土の朝7時」と時間を決めて、カレンダーに書きこみます。寝坊が心配なら、ほかの人と一緒に運動する約束にすれば、顔を出さざるをえなくなります。それでもだめなら、スポーツジムに申し込みます。もし運動を休んでも、おカネは払わなければならなくなるからです。

これはシスター・ジョアンの「鐘」の応用です。ジムに行くという決断はすでになされているので、あらためてジムに行く決心をする必要がありません。ただ、予定した日の予定した時間にすることをするだけなのです。

創造性を発揮して仕組みを生み出すこともできます。たとえば、私は衝動的な浪費グセの問題を抱えた女性を治療したことがあります。

この患者さんは莫大なクレジットカード負債を抱えこみ、ファイナンシャル・アドバイザーにクレジットカードをすべて解約するように言われていました。しかし、本人は本当に必要になった時のことを考えると、そうしたくはありませんでした。

そこで、こんな解決策を編みだしたのです。クレジットカードを財布から取り出して、水を張った器に入れました。そして、その器を冷凍庫に入れたのです。クレジットカードは本当に必要になった時のためにそこにはありますが、氷という障壁によって彼女の浪費行動からは切り離されたわけです。

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