泣くな小泉進次郞!農業改革の分厚い岩盤

農業村の抵抗に挑む青年代議士の闘い<前編>

11月24日、自民党の農業改革方針を固め、記者団の取材に応じる小泉進次郎・党農林部会長(左)と西川公也・元農林水産相(写真:共同)

若き政治家、小泉進次郎(35)が農業改革のため、全国を飛び回っている。農政については素人だった進次郎が、短い期日の中で農業についての知識や理解を深めている。その一応の成果が11月25日、政府・与党の「農業競争力強化プログラム」として、取りまとめられた。そこで今までの顛末と評価をしてみたい。

農業界が主張したのは、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉によって関税が撤廃されると、農業が壊滅するのではないか、ということだった。安倍晋三政権が進次郎を自由民主党の農林部会長に起用したのは、その人気を利用してTPPに不満を持つ農業界をなだめようとしたのだろう。しかし進次郎は、任命者にとって想定外の活動をする。

肥料や農業機械の価格に目を付けた

進次郎が目を付けたのは、肥料や農業機械など、農業生産資材価格の高さだった。これらの資材が高いので農産物の生産コストが上昇し、外国農産物との競争力がなくなる結果、関税が必要となる。逆に言うと、資材価格が安くなれば、関税が削減されても農家に影響は生じない。TPPへの農家の不安も解消する。

10月17日の衆議院TPP特別委員会で、質問に立った議員の多くは、与野党ともに農林族議員だった。国会の農林水産委員会に集まる議員は、自民党から共産党に至るまで、ほとんど同じ主張を持つ。農家の所得を上げるべきだ、農産物価格が低下してはならない、特に多くの農家が作っているコメの価格は高ければ高いほうがいい、そのためにはコメの供給を減らす減反政策は必要だ、と――。国内の高い農産物価格維持のためには、高い関税を守ることが国益となる、という論法である。

TPP交渉で、「重要品目の関税撤廃阻止」という国会決議が守られたかどうかが大きな争点になっているが、これは農林水産委員会の合意であり、決議にすぎない。すべての議員が集まる本会議の決議ではない。

同様に国会質疑も農林族議員の立場からの質問が多く行われた。それに対して安倍首相以下、政府側も、関税を守るのが国益だとか、農は国の基いであるとか、”農本主義”的な答弁がなされたのである。

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