「東京メトロ」は五輪までにこんなに変わる! ホームドア設置や混雑緩和はどこまで実現?

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飯田橋-九段下間の折り返し線整備は、すでに存在している折り返し線を改良し、列車の増発ができるようにする。現在の折り返し線は行き止まりの構造になっているため、列車を折り返す際には後続列車の通り道をふさぐことになり、増発ができない。

このため、行き止まり線を通り抜け可能にし、折り返し列車と後続列車の同時運行を可能にする。混雑の緩和には列車の増発がもっとも効果的だけに、特に効果が期待される工事だ。この工事は2019年度の供用開始を目指して進められている。これによって列車の増発が可能になれば、東西線利用者にとって切実な混雑率の緩和が実現するであろう。

ホームドアの設置は前倒し

華やかな新駅開業や駅リニューアルが注目されがちだが、関心が高まっているホームドアの整備も着実に進む予定だ。現在、東京メトロでホームドアを設置しているのは丸ノ内線・有楽町線・南北線・副都心線の全駅と、千代田線綾瀬駅の北綾瀬方面行きホームと北綾瀬駅、銀座線上野駅の渋谷方面行きホームで、2015年度末時点での整備率は47%だ。

「東京メトロプラン2018」では、2020年度に向けて銀座線と千代田線でホームドアの設置を進めるほか、2020年度から22年度にかけて日比谷線で設置工事を行うとしていた。だが、同社は11月、これに加えて東西線の6駅、半蔵門線の7駅で2019年度末までにホームドアを設置し、さらに銀座線の工事も2018年度上期までに前倒しすると発表した。

これにより、2020年夏のホームドア設置率は74%までアップする。ホームの安全が注目を集める中、いち早く計画の前倒しを発表したのは「安心の提供」をテーマに掲げる中で歓迎すべき動きだろう。

東京メトロは、すでに都心部に新線をつくる計画はなく、いまある路線網をより便利に、安全にという方向で細かい改良を続けていくしかない。都心部の一等地に路線を持っているだけに、経営基盤は盤石だ。その盤石な経営基盤を活かし、利用者に、そして東京の発展に役立つ改良工事の進展が望まれる。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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