ミクシィとガンホーを襲うスマホの"成熟化" ついに成熟化する市場、見えない次の稼ぎ頭

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依然として40%近い利益率を誇るガンホーとミクシィだが、株価は2015年11月に比べて半減、PER(株価収益率)は1ケタ半ばまで落ち込んでおり、株式市場からの評価は冷え込んでいる。

ユーザー同士の交流機能を備えたソーシャルゲームというジャンルが現れたのは2007年のこと。グリーがフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)向けに『釣り☆スタ』を出したことにさかのぼる。

成熟を迎えるスマホゲーム市場

すき間時間に遊べる操作性や「ガチャ」と呼ばれるくじ引きアイテムへの課金といった、現在に至る基本的な仕組みが確立された。当時、DeNAとグリーは自社のプラットフォーム上に各社のゲームを配信し、手数料を取ることで急激な成長を遂げた。

その後、2012年の『パズドラ』の大ヒットを契機に、主戦場はスマホへ移行した。翌年には『モンスト』も登場し、スマホゲーム市場は急拡大。カドカワの『ファミ通ゲーム白書』によれば、国内のゲームアプリ市場は2010年に1187億円だったが、2015年には約9283億円まで拡大。家庭用ソフトの約4倍の規模に膨れ上がった。

が、国内のスマホ普及が一巡した今、ガンホー、ミクシィの決算に象徴されるようにスマホゲーム業界は急激な成熟化を迎えている。

あるゲーム会社の幹部は「市場成長はもう頭打ち。これからはパズドラとモンストから離れるユーザーを各社が奪い合う市場になる」とため息をつく。

こうした環境下で最も注目を集めているのが、2015年3月に資本提携した任天堂とDeNAの2社だ。両社が開発・運営で本格的に協力したゲームアプリである『スーパーマリオラン』は12月15日の配信が決定。世界151カ国で配信し、1200円を支払えば追加課金なしで遊ぶことができる“買い切り”モデルで展開する。

「既存のゲーム事業の活性化につなげるだけでなく、(スマホゲームを)事業の大きな柱にしていきたい」(任天堂の君島達己社長)

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