「トランプ相場が持続する」とは言い切れない 過去の「米大統領選後の株価」を検証する

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このように、政策や時代背景を無視した数字だけの結果では、そこまで強いと断言できる内容ではない。

1960年のケネディ氏、1988年のブッシュ(父)氏、1992年のクリントン氏は高いパフォーマンスが得られたが、1968年のニクソン氏、1976年のカーター氏、1980年のレーガン氏、2000年のブッシュ氏のようにジリ安の展開もある。正直なところ、まちまちといった状況だ。

「大統領選後に米国株が上がりやすい」とは言い切れず

上記の動向を見る限り、大統領選挙後、2017年1月20日の大統領就任式までの2カ月間、米国株が上がりやすいというアノマリーは微妙なところだ。現在、政策への期待感から強い相場展開が見られるが、あくまでも思惑的な動きであることは頭に入れておきたい。

つまりは、今後、固まっていくであろう政策内容、実現性などを見極める必要があるということだ。「噂で買って事実で売れ」という格言通り、今回のトランプ相場は、政権の主要閣僚が判明し、政策の方向性がある程度固まりそうな11月末から12月初旬あたりに短期的なピークを迎えると考える。

直近では、東証1部の売買代金が連日で3兆円を超えるなど投資資金が流入していることなどを考慮すると、日経平均が1万8000円台に乗せる可能性は十分ありそうだ。

ただ、この米国発のトランプ相場が、中長期的な上昇トレンドを生み出すものかどうかの判断は現状ではできない。

今後、多少は流れには乗れそうだが、不透明要因があまりにも多いことから、ここからは利益を大きく取れるような地合いではないと考える。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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